出光興産と三井化学、千葉地区エチレン集約による生産最適化の検討開始

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出光興産と三井化学は3月27日、「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」の検討開始について発表した。

中国を中心とした大型石化装置の新増設と国内エチレン需要減衰により、日本のエチレン装置は低稼働を余儀なくされる状況が続いている。

加えて、世界的にカーボンニュートラル社会の実現が推進される中、CO2 の排出量削減および資源循環を目指した次世代のコンビナート構築に向けた検討の加速化が強く求められている。


両社は2010年に千葉ケミカル製造有限責任事業組合を設立し、千葉地区の両社のエチレン装置の運営統合を行ったが、これまでの連携を一歩進め、更なる既存事業の競争力強化を目的として、「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」の検討を開始する。

前提:2027年度を目処に、出光エチレン(年産370千トン)を停止し、三井エチレン(年産550千トン)に集約、これを共同運営する。

両社の能力は下記の通り。(千トン/年)

関東 関西
出光興産 千葉 370 徳山 688
三井化学 千葉 550 大阪 500

   注 2023年末時点の各社能力は未発表で、2022年末は出光(千葉)が413千トン、三井(千葉)が612千トンであった。

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千葉地区における両社と関連各社の変遷は下記の通り。

1.京葉エチレン

京葉地区にある丸善石油化学、住友化学、三井石油化学はいずれもオレフィン不足の状況にあった。

1991
9月、丸善石化は需要に見合ったオレフィン供給体制の構築を図るため、100%出資の新会社「京葉エチレン株式会社」を設立した。

エチレン設備は20041月に完成したが、事業環境の悪化で営業運転開始は同年12月になった。
住友化学と三井石油化学は25%ずつの引取りを行ったが、異なる共販メンバー同士の提携を避けるため、出資については当初は行わなかった。

19959月に三井日石ポリマー、ユニオンポリマーが解散したのを受け、199512月に住友と三井は京葉エチレンに資本参加した。

  出資比率 取引比率
丸善石化   55.0%    50%
住友化学   22.5%    25%
三井石化   22.5%    25%


2. 三井化学および住友化学の全面的統合発表

2000年11月、三井化学と住友化学は「21世紀の化学産業におけるグローバルリーダー」をめざすべく、2003年10月に両社の事業を全面統合すること、ポリオレフィン事業については2001年10月に先行的に統合することを発表した。

しかし、統合比率で折り合えず、2003331日、統合計画の白紙撤回を発表した。

以上 詳細は http://www.knak.jp/blog/ethylene-hensen.htm#ethylene-2


3. 三井化学と出光興産、「千葉地区における生産最適化」の検討開始で合意

両社は2009年5月11日、出光興産・三井化学の強みを活かした「千葉地区における生産最適化」の検討開始で合意

 1. 両社ナフサクラッカーを中心とした生産最適化
 2. 出光・千葉製油所のリファイナリー装置も含めた生産最適化
 3. 既に両社でJVとして運営しているポリオレフィン・フェノール以外の両社石化誘導品の生産最適化

2009/5/18 三井化学、事業構造改革を実施、千葉地区で出光興産と生産最適化検討

4.両社の千葉のエチレンの統合

出光興産と三井化学は2010年4月1日、「千葉地区における生産最適化」の第1ステップとして両社のエチレンの運営統合を発表した。

4月1日付けで両社折半出資で「千葉ケミカル製造有限責任事業組合」(LLP)を設立した。

10月1日に出光及び三井からエチレン装置を譲渡し、LLPの運営を開始することとなった。

2010/4/3  出光興産と三井化学、千葉のエチレン統合

5.三井化学の京葉エチレン離脱と、住友化学の千葉エチレン停止(=国内エチレン生産撤退)

きっかけは三井化学の京葉エチレンからの離脱要求であった。供給過剰状態のなかで引取比率25%の三井が離脱すると、京葉エチレンは解散もありえた。

しかし、住友化学は2013年2月1日、国内石油化学事業の拠点の千葉工場の競争力強化のため、2015年9月(次の定修時期 )までに、エチレン製造設備(定修スキップ年能力415千トン)を停止すると発表した。

石油化学事業を強化・維持していくためには、製品の高付加価値化やコスト削減を一段と進めていく必要があるが、設備の老朽化(操業開始後 40年以上経過)や内需構造の変化を踏まえ、自社での生産を停止し、国内で最も新しく大型の設備である「京葉エチレン」からの調達に一本化することが最善と判断した。

同社は1958年に日本で最初のエチレンプラントをスタートさせた2社のうちの1社であるが、日本のエチレン事業から離脱する。

住友化学は京葉エチレンの三井化学の引取枠に加え、丸善石化の引取枠も一部引き受ける。

京葉エチレンの引取枠は次の通り。(千トン/年)

三井離脱前 三井離脱後
丸善石化 384 312
住友化学 192 456
三井化学 192 0
合計 768 768

十倉社長は2012年11月の記者会見で石油化学事業の今後の展開について以下のように述べている。

サウジのペトロ・ラービグ社が第2期計画段階に入る。

今後、バルク製品はサウジで展開し、シンガポールを高付加価値製品の供給拠点とする。
千葉工場はマザー工場として、生産技術・製品・ノウハウの発信拠点としても活用していきたい。

2013/2/4 住友化学、エチレン国内生産から撤退 



6.今回の出光千葉のエチレン停止





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