韓国が輸出したUAEのバラカ原発4号機が稼働

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韓国が初めて海外に輸出した原発、アラブ首長国連邦(UAE)西部のバラカ(Barakah )原発4号機が3月2日、出力100%に到達した。 韓国電力とUAEの原子力公社 (Emirates Nuclear Energy Corporation:ENEC ) の投資で設立されたUAE原発運営会社 (Nawah Energy Company:韓国電力18% / ENEC 82%) によると、4号機はこの日、昨年12月に燃料装填を完了してから3カ月後に初臨界に達した。

バラカ原発は韓国型原発の1400MW級APR1400炉型。アラブ地域初の商業用原発で最大クリーン電力源に挙げられる。

韓国初の海外原発事業で、斗山重工業・現代建設・サムスン物産などの韓国企業が参画し、韓国電力は主契約者として原発の設計・製作・施工・試運転および運営支援までを担当 した。

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韓国電力コンソーシアムは2009年12月にバラカ原発事業を契約金約186億ドルで受注した。韓国の次世代原発の加圧軽水炉型原発(APR1400)140万kW を4基建設するもので、全部が稼働すれば、UAEの電力需要の25%を賄う。

APR1400は、米Combustion Engineering の130万kW級PWR「システム80+」をベースに、韓国電力公社(KEPCO)の指揮の下、韓国の原子力産業界が約10年かけて開発したもの 。

Combustion Engineeringは1990年代初めにABBグループ買収され、2000年にボイラーおよび化石燃料事業がAlstomに、原子力事業がWestinghouse Electricにそれぞれ売却された。

アラブ首長国連邦(UAE)の国営通信は2020年8月1日、韓国電力コンソーシアムが受注した西部のブラカ原子力発電所の1号機の稼働に成功したと伝えた。

2012年7月に着工、当初2017年上半期に1号機を試験運転する計画だったが、UAE政府が安全と自国民高級運用人材養成などを理由に運転時期を数回延期した。 最終的に2021年4月1日に営業運転を開始した。

原発稼働はアラブ諸国で初めてで、サウジアラビアは、最大16基の原子炉を建設する計画を発表しているが、まだ実現に至っていない。

2020/8/7 アラブ首長国連邦の原子力発電所1号機稼働

2号機は2013年4月に着工、2022年3月に営業運転を開始した。

2014年9月に本格着工した3号機は2023年2月に営業運転を開始した。

最後の4号機は2015年7月に建設を開始、2024年3月2日に原子力出力が100%に到達した。

下図の右端が1号機、左へ2~4号機。

UAEの原子力公社 (Emirates Nuclear Energy Corporation:ENEC ) は当初、原発建設のみを韓電に発注したが、原発を運営する専門人材やノウハウが不足しているため、運営も韓電に委託した。

韓電は9億ドルを投資して原発運営会社Nawah Energy CompanyをENECと合弁で設立し、実質的に原発の運営管理を受託し、電力を60年間にわたりENECに販売する。

東芝は2023年7月21日、東芝エネルギーシステムズがUAEの原子力企業傘下のNawah Energy Company と提携したと発表した。東芝が原子力発電に関わる企業や機器を選定する際のノウハウなど、原発運営について幅広い情報を提供する。

韓電は原発整備人材約 1千人を10年間派遣する契約を追加締結した。

韓電関係者は「60年間原発を運営すれば、電力販売で494億ドルの売り上げが見込まれ、建設受注額よりもはるかに規模が大きい。自動車228万台、携帯電話端末約5200万台の輸出に匹敵する経済効果が期待される」と述べた。

韓電社長は「UAEの原発運営権を獲得し、原発の建設から運営に至る一貫した原発事業モデルを構築した。原発輸出を活性化する契機となる」と指摘した。

2016/10/27 韓国電力、アラブ首長国連邦の原発運営に60年間参加

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