レゾナック、使用済みプラスチックを水素やCO2に変換、資源として循環

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レゾナックは3月28日、半導体材料の製造過程で生じる使用済みプラスチ ックを自社のケミカルリサイクル技術を活用して水素や炭酸ガスに換え、資源として循環させる検討を開始したと発表した。

本年1月末に初回の実証試験を行い、技術的に問題なくガス化できることを確認した。

今回試験に使用した使用済みプラスチックは、山崎事業所の感光性フィルムと、五井事業所のダイボンディングフ ィルムの製造過程から発生したもの。
(ダイボンディングフィルムは、半導体チップ=ダイ と基板, あるいは半導体チップ同士の接着に使用されるフィルム状接着剤)

試験では RPF(古紙及び廃プラスチック類を主原料とした高品位の固形燃料)に加工後、川崎プラスチックケミカルリサイクル事業で分子レベルまで分解、水素及び炭酸ガスを生成した。

RPF:Refuse derived paper and plastics densified Fuel:厨芥・紙・プラスチックなどを乾燥粉砕して石灰等を混ぜ、クレヨン状に成形加工し、固形化した燃料

川崎プラスチックケミカルリサイクル事業:2003年に稼働開始し、20年にわたり安定運転しているガス化ケミカルリサイクルプラント。日本のケミカルリサイクルの約22%に相当する年間約7万トンの使用済みプラスチックをガス化している。

水素はアンモニアの原料として、半導体製造用の 高純度ガスを始め、繊維や接着剤の原料、窒素系肥料などに利用され、炭酸ガスは大気中に放出されることなく、 ドライアイスや飲料用炭酸として再利用される。

半導体材料の使用済みプラスチックは、現状では RPF(固形燃料)に加工し、焼却されている。

今回の実証実験で使用済 みプラスチックを焼却せずにガス化することで CO2 排出量を削減できる。

ガス化手法の工程は下記の通り。

 工程1 破砕成形設備で減容成形

収集された使用済みプラスチックは川崎事業所に運ばれ、粉砕機に投入される。

破砕した使用済みプラスチックは異物を除去した後、成形機でより小さな固まり(成形プラ)に加工される。

 工程2 ガス化設備で合成ガスを製造

成形プラは「低温ガス化炉」と「高温ガス化炉」の中で温度と圧力を調整され、水素とCO2の合成ガスとなる。

この過程で回収されるスラグ、金属類、塩、硫黄はすべて、「資源」として有効利用される。

 工程3 合成ガス中の水素からアンモニアを製造

水素とCO2の合成ガスはアンモニア製造設備へ運ばれ、水素を取り出し、その水素を利用してアンモニアが作られる。

CO2は隣接工場でドライアイス、液化炭酸ガスとして出荷される。

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