バイデン米政権は中西部ミシガン州のすでに廃炉となったPalisades原発に対し、再稼働の支援に約15億ドルの融資を決めた。
廃炉となった原発が再稼働すれば米国で初めてで、世界的にも異例で、温暖化ガスを排出しない安定電源として原発が再評価された。
Palisades原発(PWR、85.7万kW)は1971年稼働で、CMS Energy が保有していたが、2007年にEntergyに売却された。
同原発は2017年に経済性の悪化で5年後の廃炉方針を発表、2022年5月に稼働を恒久的に停止し、同年6月に廃炉を手掛けるHoltec International に売却された。
同発電所には運転開始後50年以上安全に稼働した実績があり、閉鎖直前には577日間の連続運転を記録するなど、NRCは同発電所を「最も高い安全性を有する原子炉」のカテゴリーに分類しており、原子力産業界でも高パフォーマンスの発電所として評価されていた。
Holtec International は当初は廃炉の予定であったが、原子力のようにクリーンなエネルギー源が重視される時代となったと考え、2022年9月に連邦政府の支援を当て込んで一転して再稼働を目指し、動き出した。
2023年10月、同社は運転認可の再交付を米原子力規制委員会(NRC)に申請した。事前にNRCスタッフと複数回にわたり協議を重ねていた。
Palisades原発の再稼働方針については、ミシガン州知事も2022年9月に支持を表明、2023年7月には、同発電所の再稼働に1億5,000万ドルの支援を盛り込んだ2024会計年度の州政府予算法案に署名した。
Holtec はエネルギー省のLoan Programs Office に再稼働のための資金援助を申請しており、エネルギー省も、稼働再開を支援するために15億ドルの融資を提供する準備が整っていると報じられている。
Holtec も、同発電所が発電する電力を州内のWolverine Power Cooperativeに販売するため、2023年9月に子会社を通じて長期の電力売買契約(PPA)を締結している。
稼働が再開されれば、Palisades原発は国内で最初に稼働を再開する原子力発電所となる。
再稼働は2025年後半を目標とし、少なくとも2051年まで運転する計画とされる。
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