SK hynix、米国に半導体工場

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HBMメーカーの韓国 SK hynix は4月3日、Indiana州West Lafayetteに38.7億ドルを投資し、次世代HBM向け先端パッケージング生産施設とR&D施設を建設すると発表した。R&Dで 現地のPurdue University、Ivy Tech Community College と協力する。

HBM (High Bandwidth Memory:広帯域メモリーは、高い価値と高い性能を持つ複数のDRAMチップを垂直に接続し、従来のDRAM製品と比較してデータ処理速度を劇的に向上させるメモリ。最新のHBM4は、HBM、HBM2、HBM2E、HBM3、およびHBM3Eに続く6世代目の製品。

米国では最初の計画で、AI サプライチェーンでイノベーションをもたらすとともに、1000人以上の雇用をもたらす。

West Lafayette を選んだのは、州及び地方政府からの強いサポートがあること、インフラが整っていること、同市にあるPurdue University と協力できることなどが理由である。

「半導体業界初のAI半導体向け先端パッケージング生産施設を米国に建設できてうれしい」。SKの郭魯正最高経営責任者(CEO)は、米インディアナ州で開かれた式典で米政府関係者らに満足げに思いを伝えた。

SKは計38.7億ドル(約5800億円)を投じ、同社として米国初となる半導体工場を新設する。2028年下半期の量産を目指し、生成AIの駆動に必要な高性能半導体「広帯域メモリー(HBM)」の仕上げ工程を行う。

コンピューターの演算処理を行うロジック半導体の分野では、台湾積体電路製造(TSMC)と韓国サムスン電子が相次ぎ米国進出を決めている。記憶媒体のメモリーで高い技術力を持つSKも参入することで、米国の半導体の供給網は一段と整備が進む。

2022/12/8 TSMC、米国で3ナノ品生産 

2021/11/26 サムスン電子、米テキサス州に半導体工場新設 &付記

2024年4月5日、サムスン電子が米テキサス州に建設中の半導体工場への投資額を約440億ドル(約6兆7000億円)と従来計画の2倍超に増やす可能性があることがわかった。


Chat GPTなどに使われる生成AIの普及も、SKの決断を後押しした。大量のデータを高速で処理するためにはHBMが欠かせない。SKは米NVIDIAとの協業で量産技術をいち早く確立し た。

生成AI用半導体の製造には、複数のウエハーの積層や穴の貫通といった複雑な技術が求められる。同州にあるPurdue Universityは最先端半導体の研究を手がける。

HBMという新技術で一気に優位に躍り出たSKは、サムスンに差を付けようと量産計画を急ぐ。

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バイデン大統領は3月20日、CHIPS and Science Act に基づき、インテルに最大で85億ドルの補助金を出すと明らかにした。

2024/3/22 米政府、CHIPS and Science Act に基づき Intelに最大で85億ドルの補助金

3月14日のBloomberg は関係筋の話として、米政府は韓国のサムスン電子に対して、同社が発表したテキサスプロジェクトを越えて投資を拡大するよう支援するために60億ドル以上の補助金を支給する方針と報じた。

サムスン電子は2021年11月24日、米国テキサス州Austin近郊のTaylor市に最先端の半導体工場を新設すると発表した。建物、土地、工場設備などを含めた総投資額は170億ドルの見込みで、同社にとり米国最大の投資案件となる。

2021/11/26 サムスン電子、米テキサス州に半導体工場新設  

Wall Street Journal は2024年4月5日、サムスン電子が米テキサス州に建設中の半導体工場への投資額を約440億ドルと従来計画の2倍超に増やす可能性があることが分かったと報じた。

付記 米政府は4月15日、韓国サムスン電子がテキサス州に建設する半導体の新工場と研究開発拠点に、最大64億ドルを補助すると発表した。

これは、台湾のTSMCが受け取るものと知られている50億ドルを上回る金額である。

台湾のTSMCは12月6日、2024年の操業開始を目指してアメリカ西部アリゾナ州に建設している工場のそばに、新たに別の工場を建設すると発表した。この工場では、現在、世界で量産されている半導体のなかでも最先端の、回路の幅が3ナノメートルの製品を2026年から生産する。TSMCにとっては、海外で先端品をつくる初の拠点となる。

2つの工場の建設で、TSMCのアリゾナ州への投資額は、従来計画比3倍強の400億ドルにのぼることになる。

付記

米商務省は2024年4月8日、TSMCがアリゾナ州に建設する新工場に最大66億ドル(約1兆円)の補助金を支給すると発表した。TSMCは第3工場を設け、先端半導体を生産する。米国は中国に頼らない半導体供給網の構築をめざす。

TSMCは既に2つの工場を同州に建設中で、レモンド米商務長官は、TSMCが新たに第3工場の建設を確約したと明かした。第3工場では「2ナノ(ナノは10億分の1)メートルか、それ以下の先端半導体が作られる」との見通しを示した。

2022/12/8 TSMC、米国で3ナノ品生産

SK hynix も当然、補助金を期待している。

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