新タイプの肥満症治療薬が急増  

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新タイプの肥満症治療薬の利用者が、米国を中心に世界で急増している。

先駆けとなったのが、デンマーク製薬大手Novo Nordisk Wegovy(ウゴービ )で、2021年に米国で承認された。もともと糖尿病(内臓脂肪の蓄積が主な原因)のために開発した薬(GLP-1受容体作動薬)を肥満症治療に応用したもので、食欲を抑制することでやせる効果があるとされる。日本では「セマグルチド(遺伝子組換え)」として2023年3月に承認された。

食事をとると小腸から分泌され、インスリンの分泌を促進する働きをもつホルモンをインクレチンといい、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド )とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)がある。
2型糖尿病に対する治療薬として注目されるのがGLP-1である。

GLP-1は、食事をとって血糖値が上がると、小腸にあるL細胞から分泌され、すい臓のβ 細胞表面にあるGLP-1の鍵穴 (受容体) にくっつき、β 細胞内からインスリンを分泌させる。GLP-1は、血糖値が高い場合にのみインスリンを分泌させる特徴がある。摂取した食物の胃からの排出を遅らせる作用や食欲を抑える作用などもある。

GIPも食欲を抑制するだけでなく、体内での糖分や脂肪の分解を改善する可能性がある。

Eli Lillyは昨年12月、同様の働きを持つ肥満症治療薬Zepboundを米市場に投入した。

Amgen や Pfizerなど多くのメーカーが開発を急ぐ。

CNBCによると、各社の開発状況は下記の通り。

製品名

メーカー

用法

米承認

Wegovy

Novo Nordisk

週1回の注射

2021 承認

GLP-1を活性化 

Zepbound

Eli Lilly

週1回の注射

2023 承認

GLP-1とGIPを活性化   

Saxenda

Novo Nordisk

週1回の注射

2020 承認

GLP-1を活性化

MariTide

Amgen

月1回の注射

Experimental

GLP-1を活性化し、GIPをブロック

Danuglipron

Pfizer

1日1回の錠剤

Experimental

GLP-1を活性化

VK2735

Viking Therapeutics

週1回の注射

Experimental

GLP-1とGIPを活性化

Pemvidutide

Altimmune

週1回の注射

Experimental

GLP-1を活性化

GSBR-1290

Structure Therapeutics

週1回の錠剤

Experimental

GLP-1を活性化

Survodutide

Zealand Pharma,
Boehringer Ingelheim

週1回の注射

Experimental

GLP-1とグルカゴンを活性化


Amgen のMariTide は、他の薬剤が週1回の注射が必要なのに対し、月1回の注射でよいことで注目されている。

Eli Lilly のZepbound はGLP-1とともにGIPを活性化する。GIPは食欲を抑制するだけでなく、体内での糖分や脂肪の分解を改善する可能性がある。

しかし、AmgenのMariTideはGIPをブロックする。同社では、これを遺伝学的研究に基づいているとしている。

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これとは別に、日本では2023年2月17日に大正製薬が、肥満の人向けの肥満症予防薬オルリスタットをOTC医薬品として厚生労働省より製造販売承認を取得した。欧米ではRocheがXenical、GraxoSmithKlineがAlliの商品名で販売している。

薬局・薬店で薬剤師から指導を受けて購入する「要指導医薬品」に指定されている。「腹部が太めな方の内臓脂肪および腹囲の減少(生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る)」の効能・効果をうたう。

カプセルタイプで1日3回、食事中もしくは食後に服用する。

オルリスタットには、脂質の吸収を抑える効果がある。通常、小腸では、リパーゼという脂肪分解酵素が脂質を分解して、脂質が吸収される。オルリスタットを服用すると、オルリスタットはリパーゼと結合し、リパーゼの働きが抑えられる。その結果、脂質は分解されず、そのまま便として排出され、肥満症を予防する。


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