旭化成、カナダにリチウムイオン電池セパレータ工場

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旭化成がEV向け電池用セパレータの工場をカナダに新設する。投資額は概算1800億円で、カナダにEVの新工場を建設予定のホンダなどに供給する。

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リチウムイオン電池用セパレータ「ハイポア™」(湿式膜)は、民生用電子機器用途から車載用途に販売を拡大してきた。

セパレータは、リチウムイオン電池の正極・負極間に位置する多孔質膜で、正極・負極間でリチウムイオンを透過させる機能を有するとともに、正極と負極の接触を遮断し、ショートを防止する部材

米国インフレ抑制法(IRA)の施行などにより、各社が北米における電気自動車等の車載用途向けLIB(リチウムイオン電池)を拡大している。


湿式セパレータの急速な需要拡大 も見込まれている。
そのような流れを踏まえ、同社は北米・日本をターゲットとする事業戦略を定め、同地域での車載市場における成長を実現する施策として、2023年10月に米国、日本および韓国における「ハイポア™」の塗工製造能力増強を決定した。

(1)設備投資額:約400億円
(2)立地:米国ノースカロライナ州シャーロット、宮崎県日向市、韓国平澤(ピョンテク)市
(3)塗工能力:約7億m2/年
(4)稼働時期:2026年度上期より順次商業運転開始

今般、 旭化成は米国インフレ抑制法等による北米における電動車向けセパレータ需要の増加及びリチウムイオン電池サプライチェーンの現地化に対応すべく、カナダに「ハイポア™」の製膜工程、塗工工程を含む一貫生産拠点を設立することを決定した。

カナダ投資(工場建設)の概要:

 (1)立地:カナダ・オンタリオ州

 (2)設備概要:「ハイポア™」製膜・塗工一貫ライン

 (3)概算投資額:1,800億円

 (4)生産能力:約7億m2/年(塗工膜換算)

 (5)商業運転開始時期:2027年予定

稼働開始から5年目の2031年には、ハイポア事業で売上高1,600億円、営業利益率20%以上を見込む 。

北米の電動車(xEV)市場は、中長期的な成長を予想しており、第2期、第3期の投資まで見据える。自動車メーカーや電池メーカーからの極めて旺盛な引き合いを受領し、これらの需要に確実に応えていくことが同社の使命と考える。

第3期までの投資を通じ、北米での市場シェア30%以上の獲得を目指す。将来的には、セパレータ事業を中核とする「蓄エネルギー」事業において、これまで培ってきた電池関連技術を用いて、さまざまなソリューション事業を展開する。

当該工場に関しては、本田技研工業と基本合意書を締結し、出資に関する検討を進めている。

また今回のカナダ工場建設において、旭化成バッテリーセパレータは、日本政策投資銀行に対し優先株を発行し、資金提供 (280億円出資)を受けることに合意した。さらに、カナダ連邦政府、オンタリオ州政府から補助金・税恩典等を受ける予定。

https://www.asahi-kasei.com/jp/ir/library/business/pdf/240425.pdf

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