豪州のCarbon dioxide Capture and Utilization 企業、プラント建設開始

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2013年に豪州のOricaなどが設立したMCi ( Mineral Carbonation International )は4月10日、OricaのKooragang島(ニューサウスウェールズ州)のアンモニア製造工場の隣にCCU施設Myrtle(炭酸塩プラント)の建設を開始したと発表した。

CCU技術(Carbon dioxide Capture and Utilization)は二酸化炭素(CO2)を回収して製品開発などに生かす技術で、具体的には、製鉄工程で生じる副産物(スラグ)や火力発電所で生じる石炭灰、その他カルシウムやマグネシウムを含む様々な物質(廃コンクリートなど)にCO2を反応させることで、建設部門向けのさまざまな炭酸塩製品を製造する。



Myrtleは、Oricaのアンモニア工場から回収される年間1,000トン以上のCO2を利用し、約10,000トンの建材を生産 する。2025年初めまでに完成、就役、操業開始される予定としている。

MCiはMyrtle建設のためにオーストラリア政府のCCUS Development Fund から1,460万オーストラリアドル(約12億円)を確保している。

オーストラリア政府は2021年3月にCCUS開発ファンド(Carbon Capture, Use and Storage Development Fund)を設立し、最大5,000万豪ドル(約41億5,000万円、1豪ドル=83円換算)の公募型資金を公表した。

対象とするプロジェクトは、オーストラリア国内で実施されるパイロット規模以上のもので、将来的に地域のCCSハブに接続可能であるものとしており、2025年6月末までに完了することも要件となっている。

日本から伊藤忠商事とみずほ銀行に加え、三井住友信託銀行が同社に投資している。

伊藤忠商事は、2021年8月にMCiへの出資を実施した。

MCiの技術は半永久的にCO2を固定化し、且つ有用な成果物を創出できることから、世界的な脱炭素の流れを加速させる技術として産業界を中心に幅広く注目されている。また、MCi社は豪州政府から14.6百万豪ドル(約12億円)の本技術の更なる研究・開発に向けた基金交付を受けており、豪州国内で本技術への関心・期待が高まっていることが窺える。
伊藤忠商事はMCi社技術の日本国内での展開を図るべく、2021年3月に同社とMOUを締結した。その後早期に実用化できる可能性があること、対面業界である鉄鋼業界・電力業界などの顧客からの本技術への関心が非常に高いことなどを総合的に鑑み、同社への出資に至った。

本出資に伴い、本技術の日本向け展開・プロモーションについては伊藤忠商事が独占的に行うこととなる。

みずほ銀行は2023年3月31日にMCi Carbon との間で、みずほ銀行によるMCiへのUSD5Mの出資を目的に、株式引受契約を締結し、出資を行った。みずほ銀行は、環境・社会の持続性向上に資する領域(トランジション領域)における顧客の挑戦をサポートすべく、シード(技術の種)やアーリーステージ(初期段階)の段階から、トランジション領域にて顧客が関与するプロジェクト等に戦略的に出資することで、顧客と機会とリスクを共有し、広く環境・社会の持続性向上に資する社会的価値を共創していくことを目指している。

三井住友信託銀行は2024年3月12日、「社会課題解決に向けた挑戦や取り組みを資金面からサポートすることを目的とする」インパクトエクイティ投資として出資した。増資による資金は、当該量産化プラントの建設資金として活用される。

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