EU、ロシア凍結資産でウクライナ支援

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EU加盟国は5月8日、凍結したロシア資産の利子をウクライナ支援に使うことで大筋合意した。武器の調達などを支援するため7月にも支払いを始める。

西側諸国は2022年2月のウクライナ侵略の開始直後にロシア中央銀行の資産を凍結していた。総額3000億ドル(約46兆円)の3分の2はEU域内にある。資産を保管するベルギーの 国際決済機関Euroclear が得る年30億ユーロ(約5000億円)の利子収入を活用する。

米欧カナダの6カ国とEUは2022年2月26日、ロシアに追加制裁する方針を表明した。ロシアの中央銀行に初めて制裁を科し、ロシアの外貨準備を使えなくして通貨ルーブルの防衛を困難にする狙い。岸田文雄首相は2月27日、米欧の制裁への参加を表明した。

米英独仏イタリア、カナダの6カ国と欧州委員会は同日、ロシアの大手銀行などを国際的な資金決済網 SWIFTから排除する追加の金融制裁を科すことで合意した。数日中に実行する。

ロシアはドルやユーロなどの外貨準備をおよそ6300億ドル、日本円でおよそ73兆円保有していて、ウクライナへの軍事侵攻や欧米の経済制裁を受けて急落する通貨ルーブルを外貨を使って買い支える姿勢を示してきた。

今回の追加制裁はこれを阻止する狙いで、日本やヨーロッパ各国などとも連携してロシア経済に打撃を与える。

ただ今回、エネルギー関連の取り引きは例外的に許可する制度を設けるとしていて、ロシアに対して実効性を伴う形で強い
圧力をかけられるかが焦点になる。

2022/2/28 ロシア追加制裁、国際決済網から排除 

ユーロクリアから半年ごとにEUの基金に入れ、9割をウクライナのための武器購入、1割を復興に回す想定。

ロシア中銀資産の活用は22年から主要7カ国(G7)やEUで議論してきた。EUの合意は具体的な活用の第一歩といえるが、活用するのは利子部分にとどめ、資産全体の没収などには踏み込まなかった。

ロシア国内には欧州企業の資産が多く残る。国際法への抵触に加え、ロシアによる報復を懸念したためとみられる。

国際法上、国家資産は原則没収できない。

今回、ロシア資産を例外とする論拠にしたのは国連の国際法委員会が2001年にまとめた文書で、国際法の権威が集まる同委は2001年に草案を採択し、違法行為によって特別に影響を受ける国は加害国の責任を追及できると記した。
米国はこれに基づき、予算の面などで影響を受けるG7も対抗措置が可能だと主張した。

英国は国際法に抵触する懸念から資産没収に慎重な立場だったが、2023年11月にキャメロン外相が就任してから推進派に転じた。

ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアの凍結資産そのものの活用を求めている。資産没収には各国の国内手続きも必要になる。

独仏は没収できるとの米国の解釈に真っ向から反論、交戦状態にない第三国の資産を没収すれば国際法違反の悪しき前例になると訴える。

国営ロシア通信は2024年1月21日、西側諸国がロシアの資産を没収してウクライナ復興に充当し、ロシアが報復に動いた場合、西側が失う資産と投資の規模は少なくとも2880億ドルに上るとの試算結果を伝えた。EU加盟国の資産はこの8割の2233億ドルを占める。ロシアは、西側が強硬措置を進めれば、ロシア側にも没収できる米国と欧州諸国の資産のリストがあると警告している。


国営ロシア通信によると、西側諸国がロシア国内に保有する資産は次の通り。

EU  2233億ドル(キプロス 983、オランダ 501、ドイツ 173、フランス 166、イタリア 129、その他EU 281)
英国  189億ドル
米国  96億ドル
日本......46億ドル
その他 322億ドル

EUに没収を提起してきた米国では、サミットまでに合意できる折衷案として資産の将来の利子を担保にした債券発行や融資の構想が浮上している。

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