Shell、シンガポールの Energy and Chemicals Park をインドネシアのChandra Asri とスイスのGlencoreのJVに売却

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Shellは5月8日、シンガポールのEnergy and Chemicals Park をインドネシアのChandra Asri とスイスのGlencoreのJVのCAPGC Pte. Ltd.に売却する契約に合意に達したと発表した。

Chandra Asri はインドネシアの化学・インフラソリューション企業
Glencoreはスイス・バールに本社を置く 世界最大のグローバル多角的天然資源企業の1つ

Chandra AsriがJVのマジョリティを持つ。

これは、SHELLのChemicals and Products businessを高機能化し、排出を減らしつつ、より多くの価値を生み出すという同社のコミットメントを示すものとしている。

買収したChandra Asri とGlencoreのJVのCAPGC Pte. Ltd.によると、入札で買収したという。買収金額は発表されていない。2024年末迄に取引を完了させる予定。


発表内容は下記の通り。

1.売却対象のShell Energy and Chemicals Park Singapore はJurong島とBukom島の石油精製・石油化学資産である。

Jurong島は、元の7つの島(Ayer Chawan、Ayer Merbau、Merlimau、Pesek、Pesek Kecil、Sakra、Seraya)とWestern Islands を一つにしたもの

メルバウ島にはShellが出資するが、今回の売却対象外のPCS、TPCがある。
セラヤ島とサクラ島には売却対象のPO/SM設備が、またメルバウ島には同じく売却対象のEO、EGプラント(JV)がある。

Bukom島はJurong島の南東にある島で、Shell のSM/PO設備があるSeraya島から5kmのパイプラインで繋がっている。

Bukom島には、Shell が所有・運営する日量237千バレルの製油所と、年産110万トンのエチレンクラッカーがある。


2003年1月、住友化学 とShell はシンガポールでの新たなエチレンプラントの建設についてFSを開始する旨の契約を締結した。

シェルの日量50万バレル(当時)のリファイナリーがあるブコム島にエチレンプラントを建設、パイプラインで ジュロン島に送り、住友化学が誘導品を増設する計画であった。

2004年5月、住友化学はサウジ・ラービグ計画に参加する覚書を締結、これにより、ブコム島でのエチレン計画から撤退することとなった。

シェルは住友化学の離脱後もシンガポールの経済開発局とともに本計画を進めることとし、2010年3月に下記能力でスタートした。その後、増設。

エチレン 800 千トン
プロピレン 450
べンゼン 230
ブタジエン 155

2013/6/7 ExxonMobil のシンガポール石化2期計画完成 に記載


2.Jurong島にはShell 出資の下記のプラントがある。このうち、PSCとTPCは今回の売却対象外である。これらにはShell単独ではなく、Qatarとの50/50JVとして出資している。

社名 Petrochemical Corp. of Singapore (PCS)   今回売却の対象外
場所 Merbau島
株主 日本シンガポール石油化学(JSPC)   50%
QPI and Shell Petrochemicals (Singapore) 50% (Shell 50%/Qatar 50%)  
  
カタール石油、シンガポールのPCS、TPCに出資
能力 エチレン 1,080千トン(①400+②400+増強)

社名 The Polyolefin Company (Singapore) (TPC)  今回売却の対象外
場所 Merbau島
日本シンガポールポリオレフィン(NSPC) 70%
QPI and Shell Petrochemicals (Singapore) 30% (Shell 50%/Qatar 50%)
能力 LDPE  250千トン(145+②64+増強)
LLDPE 150千トン
②114+増強)
PP  
450千トン(①175+②114+増強)

LLDPE設備をPPに転換 (PP +200千トン→650千トン)
 原料
プロピレンはPCSで新設のメタセシス法プラントから供給

 以下は今回の売却対象。ただし、EO、EGは日本勢とのJVであり、その同意が必要と思われる。

社名 Seraya Chemicals Singapore     Ellba Eastern
場所 Seraya島 Sakra島
能力 SM 370千トン
PO 160千トン
Polyols 78千トン
PG 40千トン
SM 550千トン
PO 250千トン

SM/PO併産設備

社名 Ethylene Glycols (Singapore)  
場所 Merbau島
株主 日本シンガポールEG 30%  (*住友化学、三菱化学、日本触媒ほか)
シェルグループ  
 
70%
能力 EO    45千トン
EG   122千トン
誘導品 30千トン

社名 Ethoxylates Manufacturing Pte Ltd  
場所 Merbau島
株主 Ecogreen Oleochemicals (Singapore) 
原料のEO/EGを売却するため、Shellが買い取って、原料とともに売却すると思われる。 
能力 Ethoxylates 18千トン


3. 売却プラントの従業員の雇用は維持する。

4. ShellとCAPGCは合わせて原料供給契約、製品引取契約等を締結する。

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