三井物産とShell、Total がUAEのLNG増設計画に参加か? 多分、No !

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三井物産と英Shell、仏のTotalEnergy が、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油(ADNOC)が新たに進めるLNG輸出事業について、権益取得に向け協議していると 本年4月に報じられた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

関係者によれば、3社は増設設備の権益に加え、LNGをそこから購入する契約の獲得を目指している。 ただし、ADNOCはプロジェクトを進めるに当たり、これら企業からの投資を必要としておらず、権益を売却しない決定もあり得るという。


これについて三井物産は、これは同社が発表したものではなく、また、現時点で同社として具体的に決定した事実はないとしている。

既存の液化プラントを運営するADNOC LNGは1973年に設立された。ADNOCが70%、三井物産が15%、BPが10%、Totalが5%出資している。

液化プラントはAl Ruways沖合のDas Island にある。既存能力は年産600万トンで、1977年に出荷を開始した。



Das Island 現状

LNGの増設計画では、当初 Fujairahが候補地となったが、その後、キャンセルされた。

2023年5月に新立地としてAl Ruways Industrial Cityが選ばれた。

480万トンが2系列で合計960万トンとなり、第一期と合わせると年産 1560万トンとなる。

2027年スタートの予定。

2024年3月にプラント建設の準備作業となる限定的着工指示(LNTP)を発行し、進展が見られた本年中に同事業に関する最終投資決定(FID)が行われる予定である。



ADNOCは最近、新しいLNG供給契約を次々に締結している。日本の石油資源開発とも(三井物産ではなく)ADNOCが直接契約している。

2024年3月に中国のENN Natural Gasの子会社であるENN LNG (シンガポール) とLNG供給契約を締結した。15年間の合意覚書に基づき、年間最低100万トンのLNGを供給する。

2023年8月17日、石油資源開発(Japex)にLNGを供給する5年間の契約を締結したと述べた。取引額は4億5,000万ドルから5億5,000万ドルと述べたが、LNGの量や出荷開始時期については明らかにしなかった。

2024年3月18日にドイツ国営会社「Securing Energy for Europe(SEFE)」の子会社と、15年間の液化天然ガス(LNG)長期契約を締結した。年間100万トンのLNGが2028年よりドイツに供給される。

2024年5月8日には、ドイツのエネルギー大手EnBWと、年間60万トン、15年間の液化天然ガス(LNG)供給契約を結んだと発表した。


各紙の今回の報道は、第一期の出資比率を前提に、第二期も3社が出資すると想定したものと思われるが、資金面や営業面からみても、今回、3社の出資を必要とする理由はADNOC側にはないと見られる。

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