Chevronによる米石油大手 Hessの買収、ExxonMobil と係争

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米石油大手Chevronは2023年10月23日、米同業Hess Corporationを530億ドルで買収すると発表した。

買収は全額、株式交換方式で行う。Hess株主は1株あたりChevron株 1.025株を受け取る。負債込みの買収額は600億ドルとなる。

2023/10/26 ChevronHess Corporationを530億ドルで買収

Hessは2024年5月28日に開催した株主総会でChevron による買収案が承認されたと明らかにした。

買収案を巡っては、ガイアナの油田権益を巡るExxonMobileとの対立を理由に、複数の有力投資家に加え、議決権行使助言会社 ISSが棄権を呼び掛けていた。

買収案は今後、米連邦取引委員会(FTC)の承認を得る必要があるし、ガイアナ油田の権益を巡るエクソンとの係争問題も解決しなければならない。

Chevronにとっては、Hess買収を通じてガイアナの油田権益30%を手に入れることができる。

これにより、カザフスタンの油田開発合弁プロジェクトが地政学リスクにさらされている問題や、オーストラリアにおけるLNGプロジェクトのコスト増などによる業績への悪影響を緩和することができる。

2016/7/13 Chevron、カザフスタンのTengiz 油田拡張計画を発表 

Chevron は、豪州最大の LNG 生産者であり、North West Shelf に参画し、Gorgon 及びWheatstone LNG ではオペレーターを務める。


南米ガイアナ沖のStabroek鉱区(総面積26,820平方キロメートル)では、ExxonMobil(権益保有比率45%)Hess(同30%)およびCNOOC(同25%)により組成されるコンソーシアムが2015年にLiza油田を発見して以降、30以上の油田が発見された。2022年4月には、同鉱区の可採埋蔵量が110億バレルを上回ることが明らかにされた。

ExxonMobilとパートナーは、ガイアナ環境保護庁(EPA)に対して、同鉱区で試掘井と評価井を合わせて35坑を掘削することについて申請を行っていたが、2023年7月にこれが認められた。掘削は2023年第3四半期に開始される予定で、2028年まで続く可能性があるという。

今後の10年にわたる生産拡大が期待されている。

2016年にHessは隣接のスリナム沖のBlock 42 の1/3の権利を取得した。 その北側のDeepwater Block 59は2017年にHess、ExxonMobil、Equinor が取得した。

Stabroek鉱区の開発はExxonが主導する企業連合にHessと中国海洋石油が参画する形で行われており、ExxonはHessの権益をChevronより先に買い取る権利があると主張。
他方、Chevron は「Hessの買収手続きの完了を遂行する」として協議は平行線を辿っている。

ExxonMobil は2024年3月上旬、Chevron の他社(Hess) 買収による参画は契約上阻止できるとしてスイスのジュネーブにある国際商業会議所に訴えた。3月18日から始まった国際会議の場で、両社のCEOはそれぞれを非難する異例の応酬をみせた。

Chevon側は、「契約事項は入念にチェックしていたので、自信はある」と自社の正当性を強調した。国際仲裁の判断がでるには5〜6カ月かかる見込み。

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