グリーンイノベーション基金「浮体式洋上風力発電実証事業」の実施海域及び事業者を決定

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経済産業省は6月11日、浮体式洋上風力発電の導入に向けた実証事業について、「秋田県南部沖」、「愛知県田原市・豊橋市沖」の2海域で実施すると発表した。

政府は2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに温室効果ガス(GHG)の排出量を全体としてゼロにする目標を掲げた。この目標は従来の政府方針を大幅に前倒しするものであり、実現するにはエネルギー・産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションなど、現行の取り組みを大きく加速させる必要がある。

このため、経済産業省はNEDOに総額2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などを研究開発・実証から社会実装まで10年間継続して支援するグリーンイノベーション基金事業を立ち上げた。

本プロジェクトでは洋上風力産業のうち、現状では技術成熟度が比較的低いながらも、長期的な支援によって技術開発の進展と大きな政策効果が見込める分野を支援対象としている。具体的には「洋上風力の産業競争力強化に向けた技術開発ロードマップ」に基づくサプライチェーン8分野のうち、対象として「風車」、「浮体式基礎製造」、「浮体式設置」、「電気システム」、「運転保守」を重点化した上で、まずはフェーズ1として要素技術の開発を進めてきた。

次世代浮体式洋上風力の技術開発のイメージは下図の通り。(出典 NEDO)


今回はフェーズ1での成果も踏まえ、浮体式洋上風力発電設備の将来的な大量生産に向けコスト低減を図るため、10MW以上の大型風車を用いた実海域での実証事業を実施し、早期のコスト低減を実現することで、浮体式洋上風力の早期社会実装を図るとともに、日本の洋上風力産業の競争力強化を目指す。

候補として、2023年10月に「北海道石狩市浜益沖」、「北海道岩宇・南後志地区沖」、「秋田県南部沖」「愛知県田原市・豊橋市沖」の4海域を選定していた。今回、北海道の2地域は採用されなかった。


選択された2候補の計画概要は以下の通り。

秋田県南部沖 愛知県田原市・豊橋市沖
場所 由利本荘市、にかほ市の沖合約25km、水深約400m
事業者 丸紅洋上風力開発(幹事会社)
東北電力、秋田県南部沖浮体式洋上風力、
ジャパン マリンユナイテッド、東亜建設工業、
東京製綱繊維ロープ、関電プラント、JFEエンジニアリング、
中日本航空
シーテック(幹事会社)
日立造船、鹿島建設、北拓、商船三井
計画 風車出力:15MW超
基数:2基

浮体形式:セミサブ浮体

風車出力:15MW超
基数:1基

浮体形式:セミサブ浮体

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これとは別に、浮体式に限らない「洋上風力発電」の決定を順次行っており、第3ラウンドとして「青森県沖日本海(南側)」「山形県遊佐町沖」の2つを2024年1月19日〜2024年7月19日の間で公募している。

      選定事業者 運転開始
促進地域 ①長崎県五島市沖 1.7万kw 戸田建設グループ  
②秋田県能代市・三種町・男鹿市沖 47.88万kw 三菱商事連合  
③秋田県由利本荘市沖 81.9万kw 三菱商事連合  
④千葉県銚子市沖 39.06万kw 三菱商事連合  
⑤秋田県八峰町・能代市沖 37.5万kw ジャパン・リニューアブル・エナジー(ENEOS グループ)
イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパン、
東北電力 
2029/6/30
有望な区域 ⑥長崎県西海市江島沖 42.0万kw 住友商事、東京電力リニューアブルパワー 2029/8/31
⑦青森県沖日本海(南側)

 第3ラウンド

⑧青森県沖日本海(北側)      
⑨秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖 31.5万kw JERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力 2028/6/30
⑩山形県遊佐町沖

第3ラウンド

⑪新潟県村上市及び胎内市沖 68.4万kw 三井物産、RWE Offshore Wind Japan村上胎内、大阪瓦斯 2029/6/30
⑫千葉県いすみ市沖    

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