南鳥島周辺海底にレアメタル含有の鉱物資源が大量分布

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日本財団と東京大学は6月21日、南鳥島周辺の排他的経済水域内で行った調査で、水深5千数百メートルの海底にニッケル、コバルトなどのレアメタルを豊富に含む海底鉱物資源「マンガンノジュール」が大量にあるのを発見したと発表した。100キロ四方の調査海域での総量は約2億3400万トンと見積もられ、含まれるコバルトとニッケルは国内消費量のそれぞれ 75年分(61万トン)、11年分(74万トン)に相当する。

採取や精錬などのコストを踏まえても商業化可能な資源量だといい、日本財団などは早ければ来年度中に、1日2500トン規模の採取実証を行う。

マンガンノジュール(Manganese Nodules:マンガン団塊)とは,深海底に分布する海底鉱物資源のひとつで,直径数~十数cmの球状の団塊。岩石の欠片やサメの歯などを核として、その周りに鉄やマンガンの酸化物が沈積し、同心円状に成長する。

有人潜水調査船「しんかい6500」によって日本の南鳥島EEZの深海底から採取されたもの。

銅・ニッケル・コバルトなどを豊富に含むため、1970年代から開発に向けた取組みが進められており、ハワイ沖のClarion-Clipperton 断裂帯海域には国際的な鉱区も設定されている。

JOGMECは1975年以降、経産省の委託を受けて、ハワイ南東海域の公海においてマンガン団塊の探査活動に着手するとともに、深海底鉱物資源の探査専用船「第2白嶺丸」を建造し、1980年から本格的な調査を開始した。
1982年9月には探査開発の推進母体となる「深海資源開発」(DORD)が設立された。
1987年12月に国連海洋法条約の下で、ハワイ南東沖にマンガン団塊鉱区75千km2を登録し、2001年6月に深海資源開発は国際海底機構との探査契約を締結した。

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東京大学大学院の加藤泰浩教授(地球資源学)らの研究グループは、2012年6月28日に資源地質学会で、「レアアース」を豊富に含む泥を南鳥島周辺の海底で発見したと発表した。

加藤教授らは、国際共同研究などで採取された南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)内の海底堆積物のボーリング試料を分析した結果、南鳥島の南西約300キロメートル、水深約5600メートルの海底の泥に最大約1700ppm、平均約1100ppmの高濃度でレアアースが含まれることを突きとめた。

2012/7/2 南鳥島沖にレアアース 

経済産業省は2013年7月20日、南鳥島の沖合の海底に存在するレアメタルについて、国際海底機構から探査の承認が得られたと発表した。
今後15年間にわたって日本が独占的にレアメタルの探査を行うことになる。

2013/7/24 南鳥島沖のレアメタル探査へ 

海洋研究開発機構、東京大学および千葉工業大学などの研究グループは、2010年から2016年にかけての複数の航海により、南鳥島周辺の排他的経済水域の南部から東部にかけての深海底(水深5,500-5,800 m)に広大なマンガンノジュールの密集域を発見した。

これまで、我が国のEEZでは海山の緩斜面にコバルトリッチクラストに伴って存在する小規模なマンガンノジュールの分布は知られていたが、深海底に広大なマンガンノジュールの分布が見つかったのは初めて。

本年4~6月に海底資源調査船を用いてより詳しく調査し、今回の発表となった。

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東京大学大学院の加藤泰浩教授の考えている採掘方法は下図の通り。

バックホウ(backhoe):油圧ショベルの中でも、ショベル(バケット)をオペレータ側向きに取り付けたもののこと。オペレータ側向きのショベルでオペレータは自分に引き寄せる(抱え込む)方向に操作する。地表面より低い場所の掘削に適している。
AUV(Autonomous Underwater Vehicle):人が操作せずに全自動で行動する自律型海中ロボット
ROV(Remotely Operated Vehicle:ケーブルを介して人が操縦する遠隔操縦ロボット
エアリフト:
パイプに圧縮空気を送り込んで泥水に空気を混ぜ、浮力を利用して引き揚げるもの

東大では、南鳥島海域で約1ヶ月の調査航海を行い、実際に採取したレアアース泥を用いて「選鉱→製錬→分離・精製→製品作成」という一連のフローの実証試験を行う計画で、南鳥島における調査航海には1回につき約1億5000万円が必要としている。

公的資金を活用しつつ、不足する部分を広く国民と、レアアースを活用する様々な産業界からの寄付によって支えてほしいとして寄付を募っている。

   https://utf.u-tokyo.ac.jp/project/pjt124

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