半導体の製造装置・材料メーカーの枠を超えて日本で進めてきた半導体パッケージ技術開発のコンソーシアム「Joint」(日立ケミカル時代)「JOINT2」、同追加の取り組みを、米国企業も交えて海外に展開する。
昭和電工は2020年3月24日から4月20日まで日立化成を株式公開買い付け(TOB)した結果、87.61%を取得、その後全株式を取得し、6月23日に完全子会社・昭和電工マテリアルズとした。
昭和電工は2023年1月1日に持株会社体制へ移行、昭和電工マテリアルズ(買収した日立化成)と統合し、「レゾナック」になった。
2022/10/3 昭和電工、来年1月に昭和電工マテリアルズと統合、「レゾナック」に改称
TOB前の日立化成は2019年1月のTechnical Reportで、「実装材料のトータルソリューション強化に向けた取り組み」について報告している。
それによると、新オープン・ラボを新川崎地区へ移転、2018年6月に半導体実装材料・装置の開発に携わる企業17社が参画するコンソーシアム「JOINT:(Jisso Open Innovation Network of Tops)」を設立し,同社の半導体実装オープン・ラボを拠点に活動を開始した。
このコンソーシアムでは,参画企業各社が保有する材料や装置を用いて,半導体メーカの顧客にパッケージの最先端実装技術の開発から実装プロセスまでを含む総合的なソリューションを提供することで,スピードが求められるパッケージの開発における顧客の工数・時間の削減に貢献する。
昭和電工によるTOB後の昭和電工マテリアルズでは2021年に、半導体実装材料や基板、装置の開発に携わる企業12社が参画するコンソーシアム「JOINT2(Jisso Open Innovation Network of Tops 2)」を設立し、川崎市にある同社パッケージングソリューションセンタを拠点に、10月1日より活動を開始した。このコンソーシアムでは、2.5D実装や3D実装などの次世代半導体の実装技術や評価技術を確立するために、参画企業とともに、技術の変化に応じたパッケージ評価技術、材料、基板および装置の開発を行う。
12社:昭和電工マテリアルズ、味の素ファインテクノ、上村工業、荏原製作所、新光電気工業、大日本印刷、ディスコ、東京応化工業、ナミックス、パナソニック スマートファクトリーソリューションズ、メック、ヤマハロボティクスホールディングス
2.5Dパッケージは複数のチップを一つの基板(インターポーザー)上に配置し、それらを相互接続する技術。
3Dパッケージは複数のチップを垂直方向に積層して配置する技術。チップの相互接続はTSV(シリコン貫通ビア)と呼ばれる垂直方向の配線技術が使用される
昭和電工と昭和電工マテリアルズは合併してレゾナックとなったが、2023年6月に「JOINT2:Jisso Open Innovation Network of Tops 2)」に、露光装置メーカーであるオーク製作所が新たに加わった。これにより、「JOINT2」は日本を代表する半導体の装置、材料、基板メーカー13 社で構成されるコンソーシアムとなった。最先端の後工程技術に関する一貫ラインを揃えたコンソーシアムとして、次世代半導体パッケージの評価技術・開発をさらに加速する。
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今回、レゾナックは、次世代半導体パッケージ分野において、日米の材料・装置等の企業10社によるコンソーシアム「US-JOINT」を米国・シリコンバレーに設立する。
活動拠点はシリコンバレーに設置予定で、2025年の稼働開始を目標に、2024年からクリーンルームや装置導入等の準備を開始する。
現在、急拡大している生成AIや自動運転向けなどの次世代半導体では、後工程のパッケージ技術がキーテクノロジーのひとつとなっており、2.5Dや3Dなどのパッケージ技術が急速に進化している。近年では、シリコンバレーに集積する大手半導体メーカーやGAFAM(アルファベット、アップル、メタ・プラットフォームズ、アマゾン、マイクロソフト)などのファブレス、大手IT企業が自社で半導体を設計している。さらに、後工程のパッケージも自ら研究開発を行い、新しいコンセプトが次々に生み出されている。
US-JOINTは、シリコンバレーの研究開発拠点を活用し、顧客と一緒に半導体パッケージの最新コンセプトの検証を行う。また、顧客や参画企業と共創することにより、市場ニーズをリアルタイムに捉え、材料、評価・実装技術の研究開発を加速していく。
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