エーザイは7月1日、葉酸受容体α(folate receptor α:FRα)をターゲットとした抗体薬物複合体 farletuzumab ecteribulin(FZEC、開発コード:MORAb-202)について、Bristol Myers Squibb とのグローバルな共同開発・共同販促契約を終結したと発表した。
今回の契約はBristol Myers Squibbの保有するポートフォリオに関する優先順位の見直しによるもの
これにより、本剤に関する全ての権利はエーザイが有することになった。エーザイは今後、同剤の開発・商業化はエーザイグループが単独で行う。
エーザイは今回の契約終結により、提携契約締結時に同社が研究開発費としてBristol Myers Squibbから受領した預り金2.0 億米ドルのうち未使用分について、一部をBristol Myers Squibbに返金し、残りの部分はその他の収益として計上する予定。
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エーザイは2021年6月18日、エーザイとBristol Myers Squibb が抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate)である MORAb-202 の共同開発・共同商業化に関するグローバルな独占的戦略的提携契約を締結したと発表した。
MORAb-202 は、エーザイ創製の抗葉酸受容体(Folate Receptor:FR)α抗体に、酵素切断リンカーを介して、同じくエーザイ創製の抗がん剤エリブリンを化学結合させたエーザイ初の 抗体薬物複合体 で、本剤は、良好な薬理学的プロファイルと進行性固形がんに対する単剤による抗腫瘍活性を示し、FRα ADC としてベスト・イン・クラスのポテンシャルが期待される。エーザイが FRα陽性の固形がん(子宮内膜がん、卵巣がん、肺がん、乳がんを含む)を対象として、日本における臨床第Ⅰ相試験および米国における臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験の 2 試験を実施中。
両社は、早ければ 2022 年にも本剤の承認申請をめざした臨床試験に移行する。
本契約に基づき、両社は、MORAb-202 について、日本、中国、アジア太平洋諸国*、米国、カナダ、欧州(欧州連合および英国など)およびロシアをコラボレーションテリトリーとして共同開発および共同商業化を行う。また、コラボレーションテリトリー以外の地域については、Bristol Myers Squibb が単独で開発および商業化を行う。なお、エーザイがグローバルにおける MORAb-202 の製造および供給を担う。
本契約の経済条件に基づき、Bristol Myers Squibb は、契約締結時に一時金 6.5 億米ドルをエーザイに支払う。そのうち、2.0 億米ドルが、今後のエーザイの本剤に関する研究開発費として充当される。また、エーザイは、開発、薬事および販売マイルストンの達成により最大で 24.5 億米ドルを受け取る。
コラボレーションテリトリーにおいては、両社は本契約に従って、利益を分配するとともに、研究開発および商業化の費用を分担する。
コラボレーションテリトリー以外の地域においては、Bristol Myers Squibb がエーザイに対し、売上に対する一定のロイヤリティを支払う。
コラボレーションテリトリーにおけるMORAb-202 の売上収益は、日本、中国、アジア太平洋諸国、欧州およびロシアにおいてエーザイが計上し、米国、カナダにおいてBristol Myers Squibb が計上する。
今回、この契約が解消され、同剤の開発・商業化はエーザイグループが単独で行う。
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FZECは、自社創製の葉酸受容体α(FRα)に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体であるファルレツズマブに、酵素切断リンカーを介して、同じく自社創製の抗がん剤エリブリンを化学結合させた エーザイにとって初の抗体薬物複合体。
葉酸受容体はその葉酸を細胞内に取り込む役割を担うたんぱく質で、葉酸受容体の発現部位は、正常組織においては肺や腎臓、発生過程における胚、胎盤などに限られている一方、がん組織においては卵巣がんや子宮内膜がんでの過剰発現が報告されている。そのため、がん治療における標的分子の1つとして注目されている。
この抗体薬物複合体は、標的となるFRαが発現したがん細胞内に取り込まれた後にリンカーが酵素的に切断され、抗体からエリブリンが切り離されて抗腫瘍活性を示すと考えられ る。
非臨床試験において、FRα陽性がん細胞の周囲のFRα陰性がん細胞に対しても抗腫瘍活性を示すバイスタンダー効果が確認されてい る。
現在、本剤を評価する固形がんを対象としたエーザイ主導の臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験、ならびにBristol Myers Squibb主導の卵巣がん、腹膜がん、卵管がんを対象とした臨床第Ⅱ相試験および非小細胞肺がんを対象とした臨床第Ⅱ相試験を実施中。
エーザイは、がん領域を戦略的重点領域の一つと位置づけており、ヒューマンバイオロジーを深く追求することにより、がんの「治癒」に貢献することをめざしてい る。難治性がんを対象としたFZECの開発は、がん患者のアンメット・メディカル・ニーズに取り組む同社のコミットメントを示すもの。
ペイロードであるエリブリンは、初のハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤。海洋生物クロイソカイメン(Halichondria okadai)から抽出された天然物ハリコンドリンBの全合成類縁化合物であり、微小管の伸長(重合)を阻害・抑制することで、細胞分裂の停止作用を有してい る。
エリブリンは、日本、米国、欧州、中国、アジアなどにおいて、乳がんおよび脂肪肉腫(日本では悪性軟部腫瘍)に関わる適応で承認を取得してい る。
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