公取委、トヨタ子会社の下請法違反で勧告-トヨタ系不祥事相次ぐ

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違反事実の概要

(1) TCDは、資本金の額が3億円以下の法人たる事業者に対し、自社が販売する又は製造を請け負う自動車に架装(自動車の外観変更や機能向上のための外装品や内装品を装着すること)する外装及び内装用の製品の製造を委託している。

(2) ア TCDは、下請事業者に対し、下請事業者から製品を受領した後、当該製品に係る品質検査を行っていないにもかかわらず、当該製品に瑕疵があることを理由として、2022年7月から2024年3月までの間、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、当該製品を引き取らせていた。

 イ 返品した製品の下請代金相当額等は、総額54273356円である(下請事業者65名)。

(3)ア TCDは、下請事業者に対して自社が所有する金型等(製品の製造に用いる金型、製品の塗装・メッキ処理等の加工を行う際に用いる治具及び製品のサイズを正確に確認するための計測器具である検具)を貸与していたところ、遅くとも2022年7月1日以降、当該金型等を用いて製造する製品の発注を長期間行わないにもかかわらず、下請事業者に対し、合計664個の金型等を無償で保管させることにより、下請事業者の利益を不当に害していた(下請事業者49名)

 イ TCDは、2022年7月から2024年3月までの間に、前記664個のうち、合計108個の金型等を廃棄している(下請事業者3名)。

(4) TCDは、前記(2)の行為について、2024年6月20日、下請事業者に対し、返品した製品の下請代金相当額等を支払っている。

2021年には国内ディーラーの「車検不正」の大問題が見つかった。

トヨタ自動車は2021年9月29日、トヨタ系販売大手のATグループ傘下の販売会社「ネッツトヨタ愛知」の不正車検に始まるトヨタおよびレクサス販売店における不正車検問題を受けて、全国販売店の4852拠点を総点検した結果を発表した。

販売店11社12店舗で不正車検を実施していたことが判明した。対象となる車両は1345台である。

2022年に日野自動車のエンジンの排出ガス/燃費の認証不正が表面化、そして2023年4月にダイハツの衝突試験認証不正、その後に豊田自動織機でもフォークリフト向けエンジンの認証不正が発覚しダイハツ不正は拡大し、2023年末から国内出荷を全面的に停止する事態に発展。

豊田自動織機のエンジン不正はディーゼルエンジンの出力認証不正に発展し、そのエンジンを搭載するハイエース、ランドクルーザーなどの人気モデルが出荷停止に追い込まれた。

ダイハツ工業や豊田自動織機での不正発覚を受け、国土交通省は2024年1月に、型式指定を取得している自動車メーカーら85社に対して申請における不正行為の有無などに関する調査・報告を指示した。

その結果、同年5月31日までに、トヨタ自動車とホンダ、マツダ、スズキ、ヤマハ発動機の5社から、不正行為が行われていたとの報告があった。同省は、事実確認などのため、これら5社に立ち入り検査を実施。トヨタ自動車とマツダ、ヤマハ発動機については、現行の販売車種が含まれており、該当車種の出荷を停止する事態となった。

トヨタが不正を行った試験項目は、[1]前面衝突時の乗員保護試験、[2]オフセット衝突時の乗員保護試験、[3]歩行者頭部及び脚部保護試験、[4]後面衝突試験、[5]積み荷移動防止試験、[6]エンジン出力試験の6つ。

 [1]~[5]については悪質性は低そうで、実は、トヨタ自動車は認証試験よりも厳しい基準(条件)で開発している。従って、実質的な性能に問題はないが、認証試験では法規が定めた手順・条件を順守していないため不正と判断された。

 一方、[6]のエンジン出力試験は意図的に不正な操作を施したもので、「悪質」とのそしりを免れない。

国土交通省は7月5日、トヨタ自動車から「新たな不正は確認されなかった」との報告を受けたと発表した。同省は不正行為の原因を継続調査するよう同社に指示。再度立ち入り検査を行った上で、行政処分の可否を判断する見通し。

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