ウーバー運転手は個人事業主 ― 米加州最高裁

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米カリフォルニア州の最高裁は7月25日、Uber Technologiesや Lyft などの配車サービスの運転手を個人事業主と位置付ける州の法令を有効とする判断を下した。

カリフォルニア州では、2020年1月にAB-5法(「Gig法」)が施行され、個人請負の定義を厳格化し、これに当てはまらない労働者を労働法による保護の対象とした。
これにより、
最低賃金や有給病気休暇、労災保険などの対象となるギグワーカーが激増することになった。

これに対し大手ライドシェア企業であるUber Technologiesや Lyft などは、会社が立ち行かないとして、配車や料理配達のドライバーには「Gig法」を適用せず、個人請負の地位を維持して、別の立法で保護措置を講じるとする住民投票(Proposition 22)を2020年11月に提案した。同社らによる2億ドル超の資金提供も功を奏して、この提案は可決された。

しかし、これに対しドライバーたちが猛反発し、訴訟に持ち込まれた。

2021年8月に、一審のカリフォルニア州事実審裁判所 (trial court) が、同提案 のいくつかの条項が州法に違反し、無効であると判決した。

2023年3月、控訴裁判所はこの判決を破棄し、Proposition 22を支持、ドライバーたちは会社から有給病気休暇や健康保険といった福利厚生を受ける権利はないとする一方、組合を結成して報酬や福利厚生の引き上げを交渉することはできる、と決定した。

今回、カリフォルニア州最高裁はProposition 22を支持した。Proposition 22の法令が覆されていれば、配車大手は運転手を従業員として扱う必要があり、待遇改善の費用などで収益が圧迫される可能性があった。

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連邦レベルでは、トランプ前政権は自営業を営む労働者や競合する企業で自由に働くことができる労働者を請負業者として扱えるとした。

これに対し、バイデン政権は労働者の権利保護を重視する。

米労働省は2024年1月9日、一部の労働者をコストの低い独立請負業者ではなく従業員として扱うよう企業に義務付ける最終規則(Employee or Independent Contractor Classification Under the Fair Labor Standards Act)を発表した。 3月11日に発効した。

労働者が企業に「経済的に依存」している場合、請負業者ではなく従業員と見なすことを義務付ける内容。新規則では、企業が労働者の仕事をどの程度管理しているか、労働者の仕事が事業にとってどの程度不可欠か、など6つの基準により、労働者が従業員なのか独立請負業者なのかを判断する、とされている。

労働省はこの規則によって経費節減のために意図的に労働者の分類を誤っている企業に対して、より効果的な取り締まりが可能になるとしている。


トラック輸送や製造業、ヘルスケアのほか、アプリなどを通じた単発の仕事「ギグ」サービスといった契約労働者やフリーランサーに依存する業界で人件費の増加が予想されている。

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