豪Woodside Energy、米LNG開発のTellurian 買収へ 

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豪石油・ガス大手 Woodside Energyは7月22日、米液化天然ガス(LNG)開発会社TellurianをU.S. Gulf Coast Driftwood LNG export project を含め、負債込で12億ドルで買収することで合意したと発表した。
現金9億ドルで発行済み普通株式を取得する。価格は1株当たり1ドルで、19日終値に75%超上乗せした水準。

バイデン政権が米国と自由貿易協定を結んでいない国への新規LNG輸出許可を一時停止する中、他のLNG開発企業は計画推進が難航している が、Woodsideは米国で完全承認された事業を獲得することになる。

WoodsideのCEOは、買収により同社は「世界的なLNG大手になる」と述べた。

今回の合意は資金面で苦境に直面するTellurianにも助け舟となる。同社はDriftwood LNG export projectに資金を提供する提携先を模索してきた。また、5月には一部債務を返済するため上流資産を売却すると発表していた。
Driftwood LNGはTellurianがプロジェクトを完了できるか懸念される中、一部供給契約が撤回されるなど壁に直面してきた。

2023/4/12の下記ブログでは、Tellurian Inc.は同社のDriftwood LNG計画について日本やインドの企業と出資交渉をしており、資金調達にメドをつけて2027年の生産開始を目指すとしている。

同社のマーティン・ヒューストン会長は買収案が同社の最善の利益だとし、提案を受け入れるよう株主に呼びかけた。 現状では、生産するLNG全量を長期に購入する顧客がいなければ、工場建設に必要な数十億ドルを手当することは難しいとしている。工場建設が難しいとみて、購入契約のキャンセルも出ている。

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Tellurian Inc.は 第一期として年産約1100万トンのLNGプラントを南部ルイジアナ州で計画している。

Driftwood LNG計画は年間約2,760万トンのLNG輸出施設で、フェーズ1ではLNGプラント2基(年間最大1,100万トン)を建設する。建設および操業に必要な全ての主要認可を取得し、詳細設計を約30%まで進めており、約1,200エーカーの不動産の購入およびリースを完了している。

同社は2022年4月、Driftwood LNG ターミナルの第1期工事を開始するため、米国建設会社Bechtel Energyと締結したEPC(設計・調達・建設)契約に基づき、プロジェクトを進めていくと発表した。

Bechtelは、解体工事、土木工事、重要な基礎工事を請け負う。設計はすでに約8割を終えた。米国石油サービス大手 Baker Hughesが、2つの天然ガスタービンの製造を請け負う。

2023年2月末までに計10億ドル(約1300億円)を投じている。

Tellurian Inc.は、同社が過半を維持する格好で2〜3社の出資企業を募っており、「日本企業やインド企業も関心を持っている」という。石油メジャーや米国の上流企業とも接触している。

2023/4/12 米国で多くのLNG計画が進展 

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Woodside Petroleumは1954年に7月に設立された。

一時はShellとBHPが40%ずつ出資していたが、BHPは1994年に全株を売却した。
2001年にShellは100%子会社にしようとしたが、豪州財務省が国益の観点で阻止した。

Shellはその後、持株の一部を売却し、2014年6月にはWoodside株 23.1%のうち、4.5%を残し、売却することを決めた。
WoodsideはShell持株のうち9.5%を買い戻すことで合意したが、Woodsideの株主総会で承認が得られなかった。
このため、Shellは2014年8月1日、これを含め13.6%を持ち続けると発表した。

Woodside Petroleumは豪州西部とチモール海を中心とし、下図のとおり、海外でも活動している。

2014/12/19 Apache Corporation、カナダと豪州のLNG権益をWoodside Petroleum に売却 

2016/9/9  豪州のWoodside Petroleum、BHP Billitonの豪のガス田権益を取得

2021/8/17 BHPが石油・ガス事業から脱却 Woodsideに売却 その他

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