Infineon Technologies、マレーシアに世界最大かつ最も効率的なSiCパワー半導体工場を開設

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ドイツに本社を置くインフィニオン テクノロジーズ (Infineon Technologies)は8月9日、世界最大かつ最も競争力のある200mm 炭化ケイ素 (SiC) パワー半導体工場となるマレーシアのKulimの新工場の第1フェーズを正式に開設 した。式典にはマレーシアのアンワル首相およびケダ州のサヌシ首相が参加した。

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Infineonは1973年に ドイツのSiemensの半導体グループの一部としてマレーシアのマラッカ州工場で操業を開始した。

1999年にシーメンスから分離・独立して誕生した。

2006年5月1日に、半導体メモリ部門を新子会社Qimonda AG として分割した。(設立後すぐにニューヨーク証券取引所に上場したが、2009年1月破産を申請した。 )

現在、Infineon Technologies AGは、自動車メーカーや各種産業向けに半導体を製造する多国籍企業で、パワー半導体、特にIGBTおよびパワーMOSFETにおいて世界トップクラスの市場シェアを有する。

ドイツ・ミュンヘン近郊のノイビーベルクに本社を置き、世界30カ国以上に現地法人を持つ。

自動車用や産業用の他、様々な分野へ、半導体製品の設計、開発、製造、販売、およびシステムソリューションの提供を行っている。またアメリカのカリフォルニア州サンノゼ、シンガポール、東京に子会社を置き、世界展開している。

2011年には、主に携帯電話用のモデムチップを開発販売していた無線ソリューション事業 (WLS) を約14億米ドルで米国の半導体会社インテルに売却し同事業から撤退した。インフィニオン製のモデムチップはAppleのiPhone 4に採用されるなどの実績を持っていた。

2014年8月20日、米国インターナショナル・レクティファイアーを現金約30億米ドルで買収することで合意した。この買収によりインフィニオンはパワー半導体市場のシェアにおいて、2位の東芝に2倍以上の差をつけて引き離す 。

2016年7月14日、米国Cree 社からパワー&RF事業部として分社化したWolfspeed社を8億5000万米ドルで買収すると発表。

2020年4月16日、米国の同業サイプレス・セミコンダクターを買収し子会社とした。

メモリーやプロセッサーなどを除いた、半導体市場全体の約3分の2の市場を狙っており、特にパワー半導体に注力している。

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マレーシアにおけるInfineonの事業は主に以下の3つに分かれている。

社名 場所 事業
Infineon Technologies (Kulim) Sdn Bhd ケダ州Kulim フロントエンド業務(ウェーハ製造)
Infineon Technologies (M) Sdn. Bhd. マラッカ州
Batu Berendam
自由貿易区
先端ロジック系半導体を用いたマイクロエレクトロニクス製品のバックエンド業務
Infineon Technologies (Advanced Logic) Sdn. Bhd. 電力、ディスクリートおよびセンサー半導体を用いたマイクロエレクトロニクス製品のバックエンド業務

2006年9月にKulim High-Tech Park内に、同社としてはアジア初のパワー半導体向け前工程工場 (第1工場)をオープンした。約10億米ドルを投資、最大生産能力は月間ウェハ投入量にして約10万枚(ウェハ径200mm)となっている。産業用・車載用のパワー半導体製品とロジック半導体製品が生産される 。

同社は、第1工場の優れた成長実績や安定性、そしてマレーシア投資開発庁の支援を追い風に、ウェーハ製造施設の拡大を決定した。第2工場施設は、エネルギー効率化および自動車産業向けのメガトレンド技術に重点を置いた製造コンピテンシー・センターとなる。

2022年2月、Kulim拠点に20億ユーロを投じ、第3製造棟としてSiC/GaN半導体の前工程工場を建設すると発表 した。(今回の第3工場第1フェーズ)

同工場の第1フェーズは、SiCパワー半導体の製造に重点を置き、窒化ガリウム (GaN) エピタキシーを含む予定。
SiC半導体は、電気をより効率的にスイッチングし、より小型の設計が可能であるため、高出力アプリケーションに革命をもたらし、電気自動車、急速充電ステーション、鉄道、再生可能エネルギーシステム、AIデータセンターなどの効率を高め る。第1フェーズで900人の高付加価値雇用が創出される。

2023年8月3日、200mmウエハーSiC(炭化ケイ素)工場を新設する計画を発表した。第3製造棟 第2フェーズとして今後5年で最大50億ユーロの追加投資を行う予定。完成すれば、「世界最大」の200mmウエハーSiCパワー半導体工場となる。 両フェーズを合わせたプロジェクト全体では最大4,000人の雇用が創出される。

なお、Infineonは既存および新規顧客から、車載および産業用アプリケーションにおける約50億ユーロの新規デザインウィンおよび、約10億ユーロの前払いを獲得している 。

車載部門の顧客には、Ford Motor Companyや上海汽車集団、奇瑞汽車などの自動車メーカー6社(うち中国企業は3社)が含まれている。再生可能エネルギー分野では、SolarEdgeや中国の太陽光発電/蓄電システム大手の3社が顧客となっている。
また、Schneider ElectricとSiCベースの製品に関し、前払いを含む生産能力確保について合意したことも明かした。

Kulim High-Tech Park 右端が第3工場 上からの写真 一番下が第3工場  
左側が第1フェーズ、右の空き地が第2フェーズ
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高効率の200mm SiCパワー半導体工場は、インフィニオンのパワー半導体の世界的リーダーとしての役割を強化する。第2フェーズでは、最大50億ユーロを投資し、世界最大かつ最も効率的な200mm SiCパワー半導体工場が建設される。

Kulim第3工場はInfineonのパワー半導体のグローバル コンピテンス センターであるオーストリア Villachの製造拠点と密接な関係にある。Infineonは2023年にVillachのSiCおよびGaNパワー半導体の生産能力を増強してい る。これら2つの製造拠点はワイドバンドギャップ技術のための「1つのVirtual Fab」として、迅速な立ち上げとスムーズで高効率な運用を可能にする技術とプロセスを共有してい る。

Infineonは2023年5月に炭化ケイ素 (SiC) 材料の調達基盤を多様化し、競争力のあるSiC供給元をさらに確保するため、中国のSiCサプライヤーであるSICC(山東天岳先進科技股份)と契約を締結した。この契約により、SICCはInfineonに対して、競争力があり、高品質なSiC半導体製造用150 mmウエハーおよび結晶ブールを供給し、長期的に予測される需要に対して2桁のシェアをカバーする。

インフィニオンは現在、2030年までに世界シェア30%という目標を達成するために、SiCの製造能力を拡大しており、その能力は2027年までに現在の10倍になる見込み。すでに世界中で3,600社以上の自動車および産業分野の顧客にSiC半導体を提供している。

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