米、対中制裁関税の引き上げ延期

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米政府は8月1日に予定していた中国からの輸入品への制裁関税引き上げを半月ほど延期する。

関税引き上げについて意見募集をしたところ1100件超の意見が寄せられ、想定した期限までにまとめきれなかった。

特に港湾クレーン(税率0%→25%)を巡って業界団体から強い反対が出ている。

全米港湾協会は、米国内で大型クレーンを製造できる企業がなく、中国製クレーンが事実上輸入できなくなれば「港の効率と取扱量に深刻な被害を与える」と訴えた。関税引き上げの発表前に米国内から計35台のクレーンが中国に発注されていたが、代替調達先がなく、8月に関税が上がれば少なくとも1億3100万ドルのコスト増になるとして延期を求めている。

USTRは、8月中に意見を反映して最終決定を公表、公表から約2週間後に関税を上げる。

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米国は5月14日、中国製EV関税などを大幅に引き上げると発表した。

同日発表したFact Sheetで次のように述べている。

中国の不公正な貿易慣行に対応し、それによって生じる損害を補償するために、バイデン大統領は本日、通商代表に対して、1974年の通商法のセクション301に基づいて中国からの180億ドル相当の輸入品に対する関税を引き上げるよう指示した。

大統領はアメリカの労働者と企業を中国の不公正な貿易慣行から保護するための行動を取る。
中国に技術移転、知的財産、革新に関する不公正な貿易慣行を廃止するよう促すため、大統領は鋼鉄、アルミニウム、半導体、電気自動車、バッテリー、重要鉱物、太陽電池、岸壁クレーン、医療製品などの戦略的セクター全般で関税を引き上げるよう指示した。

2024/5/15 米国、中国製EV関税など大幅引き上げ 

この時点では、品目別の引き上げ後の関税率と、関税引き上げ年(2024年&2025年、2026年)が記載されているが、政府は5月29日のコメント要請で、2024年分は2024年8月1日、2025年分は2025年8月1日に、2026年分は2026年8月1日に関税を引き上げるとした。

本年8月1日に引き上げる予定だった品目例は下記の通り。

品目 現行税率 引き上げ後
鉄鋼・アルミ製品 0~7.5% 25%
EV 25% 100%
EVバッテリー、部品 7.5% 25%
太陽電池 25% 50%
港湾クレーン 0% 25%
注射器 0% 50%
呼吸器、フェイスマスク 0~7.5% 25%

なお、2025年、2026年8月1日に引き上げる品目は下記の通り。

品目 現行税率 引き上げ後
(2025/8/1)
Semiconductors 25% 50%
(2026/8/1)
非EVバッテリー 7.5% 25%
天然黒鉛と永久磁石 0% 25%
医療用、手術用手袋 0% 25%

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