韓国の原子力安全委員会は9月12日、第200回会議を開き、慶尚北道蔚珍郡にある新ハヌル3、4号機建設案を許可したと発表した。新ハヌル3、4号機は前政権の「脱原発」政策で2017年10月に建設が中断された。
今回の許可は、韓国水力原子力が2016年1月に建設許可を申請してから8年8ヵ月ぶりに行われた。
これで韓国はセウル3、4号機(旧名「新古里5、6号機」)の建設許可以来、8年3ヵ月ぶりに新しい原発を建設することになった。
新ハヌル3、4号機は出力規模がそれぞれ1400メガワット(MW)の加圧軽水炉型原発(APR 1400)で現在運営中のセウル1・2号機、新ハヌル1・2号機と設計が同一だ。2016年1月に建設許可を申請したが、1年余り後の2017年10月、文在寅(ムン・ジェイン)政府が閣議を通じて「エネルギー転換ロードマップ」を議決し事業が中断され、建設許可審査も中止となった。以後、今回の政府が2022年7月に建設事業再開を宣言し、審査が再開された。
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韓国産業通商資源部は2022年12月14日、東部の慶尚北道蔚珍郡で新ハヌル原子力発電所1号機の完工式を開催した。
国内27基目の原発で、韓国が独自技術で開発した次世代型の原子炉「APR1400」を採用している。2010年の着工から12年を経て、今月7日に営業運転を開始した。
尹大統領はこの日の竣工式祝辞を通じて、前政府で推進していた脱原発政策の白紙化を公式化した。「独自の小型モジュール原子炉(SMR)の開発に合計4000億ウォンを投資し、未来の原発市場の主導権を確保していく」とも述べた。
「過去の政権で無理に推進された脱原発政策を廃棄して、原発政策を正常化した」とし「脱原発で萎縮した韓国の原発産業が活力を帯びて再び飛躍するだろう」と自評した。「政府は原発産業を我が国の輸出を導いていく支えにして、大韓民国が世界的な原発強国としての地位を今一度誇れるように積極的に支援する」とし、今年を「原発再飛躍元年」とした。
2022年5月に発足した韓国の尹錫悦政権は7月5日、同政権による初のエネルギー政策を決定したと発表した。
文在寅前政権が定めた脱原子力政策を正式に撤回し、総発電量における原子力発電のシェアを上方修正すると表明。2030年に原子力で少なくとも総発電量の30%を賄う方針であることや、白紙撤回された新ハンウル3、4号機(各PWR、140万kW)建設計画の再開方針などを明確に示した。
2022/12/20 韓国、新ハヌル1号原発の竣工式
韓国は原発の輸出に注力している。
韓国が初めて海外に輸出した原発、アラブ首長国連邦(UAE)西部のバラカ(Barakah )原発4号機が2024年3月2日、出力100%に到達した。 韓国電力とUAEの原子力公社 (Emirates Nuclear Energy Corporation:ENEC ) の投資で設立されたUAE原発運営会社 (Nawah Energy Company:韓国電力18% / ENEC 82%) によると、4号機はこの日、昨年12月に燃料装填を完了してから3カ月後に初臨界に達した。
バラカ原発は韓国型原発の1400MW級APR1400炉型。アラブ地域初の商業用原発で最大クリーン電力源に挙げられる。
韓国初の海外原発事業で、斗山重工業・現代建設・サムスン物産などの韓国企業が参画し、韓国電力は主契約者として原発の設計・製作・施工・試運転および運営支援までを担当した。
2024/3/5 韓国が輸出したUAEのバラカ原発4号機が稼働
韓国産業通商資源部は2024年7月17日、チェコのドコバニとテメリンに1000メガワット(MW)級の原発各2基を建設する事業の優先交渉対象者に韓国電力公社の系列会社「韓国水力原子力」が選定されたと発表した。
今回確定した事業はドコバニ5・6号機で、チェコ側が予想した建設総事業費は173億ドル。最終契約金額は今後の交渉を通じて最終決定される予定。テメリンに建設する2基については5年以内に建設するかどうかを決める。
本件にはフランス電力公社(EDF)も入札に参加し、マクロン大統領自らも売り込みに乗り出したものの敗退した。
逆に韓国は、アラブ首長国連邦(UAE)でアラブ諸国で初めての原発建設を手がけたが、チェコでも選定されたことで欧州での新たな足掛かりを得ることになる。
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