BRICS首脳会議

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BRICSの首脳会議が10月22日 から24日まで、ロシアのカザン(モスクワの東約800kmに位置するタタールスタン共和国の首都)で開かれた。

中国の習近平国家主席ら各国首脳が22日に相次いでカザンに到着し、同日午後にはロシアのプーチン大統領と首脳会談を開いた。

国連のAntonio Guterres 事務総長がBRICS サミット出席のため到着した。同事務総長にとって2年以上ぶりのロシア訪問だが、ウクライナからは非難を浴びている。

クレムリンは、Guterres 国連事務総長は24日にプーチン大統領と会談し、ウクライナ紛争について話し合う予定だと述べた。

ウクライナの非難に対し、事務総長の報道官は、この訪問は「重要な加盟国を多く擁する組織」への定期的な参加の一環であり、ウクライナ紛争に関する「彼の一貫した立場」と「公正な和平への条件」を再確認する機会だと説明した。

インドのモディ首相も和平仲介者としての立場を示し、22日のプーチン大統領との会談で紛争の早期終結を訴えた。


今回のBRICS首脳会議は2024年1月にエジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)が新たに加盟国になってから初の首脳会議となる。

BRICSは2023年8月の首脳会議で、加入を申請している国のうち、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国を正式に招待することが決まった。2024年1月付で正式なメンバーとなる。

2023/8/26 BRICSに6カ国が新しく参加

しかしアルゼンチンは、2023年12月に就任したハビエル・ミレイ大統領が加盟を見送った。

サウジについては、ロイター通信が本年2月にサウジ当局者の話として「加盟を検討中」と報道。サウジ国営メディアは「加盟の招待を受けている」と報じ、不明確な状態が続いていた。

最終的に、サウジアラビアは加盟資格を認められたものの、加盟していないとの見解を示している。

現在の加盟国は、既存の5カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南ア)と2024年1月1日 加盟の4カ国(エジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦:UAE)の合計9カ国になった。

首脳会議の全体会合が23日に開かれた。

プーチン大統領は、2024/25年のBRICS諸国の平均経済成長率は3.8%で、世界の成長率は3.2─3.3%になると予想。「BRICSが世界経済で主導的な役割を果たす傾向はさらに強まるだろう」と述べ、その主な要因として人口増加、都市化、資本蓄積、生産性向上を挙げた。

プーチン大統領は「30か国以上が関係強化の意思を示している」と述べた。

その上で「BRICSがダイナミックに発展し、世界情勢における権威と影響力を強めているのを目の当たりにしている」と述べグローバル・サウスと呼ばれる新興国などを中心に、BRICSの影響力が拡大することに期待感を示した。

全体会合では「公正な世界発展と安全のための多国間協力の強化」をテーマに議論が行われ、「カザン宣言」が採択された。

カザン宣言では、

・ロシアやイランを含むBRICSの一部加盟国に科された「一方的な制裁措置」が対象国の最貧困層の人々を苦しめていると非難し、国際法に反する一方的な経済制裁の撤廃を求めた。

・BRICS穀物取引所や越境決済システムなど基本合意された共同プロジェクトが示された。

プーチン大統領は「BRICS諸国は世界有数の穀物、豆類、油糧種子の生産国であることから、BRICS穀物取引所の開設を提案した」と説明。

この取引所は「食料安全保障の確保という特別な役割を考慮すれば、製品や原材料の公正で予測可能な価格指標の形成に貢献する」と述べた。

取引対象はいずれ原油やガス、金属などに拡大する可能性がある。

・BRICSの枠組みにおける金融協力について、加盟国間の決済における自国通貨の使用拡大を引き続き検討する。

・BRICSの国々との関係強化などを目指す「パートナー国」の資格を設けることを支持した。

ロシアの大統領補佐官によると、「パートナー国」として13カ国のリストが合意された。ブラジル紙によると、トルコやインドネシア、マレーシア、タイ、キューバなどが含まれている。


BRICS首脳はまた、ドル支配の世界金融システムを回避して相互に貿易できるようにする、共通の越境決済システムの構築を支持した。

ブラジルのルラ大統領はオンラインで首脳会議に参加し、BRICS諸国が代替決済手段を構築する時が来たと述べた。

インドのモディ首相は、BRICS諸国の金融統合に向けた歩みを歓迎すると述べ、中国の習近平国家主席はBBRICS諸国の金融・経済協力の深化を促した。

プーチン大統領は演説の中で、BRICS投資プラットフォームの創設も呼びかけた。このプラットフォームはBRICS諸国間の相互投資を促すもので、グローバルサウスの他の国々への投資にも利用できる。

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