米FDA、Bristol-Myers Squibbの統合失調症薬を承認 

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米食品医薬品局(FDA)は9月27日までに米製薬大手のBristol-Myers Squibbの統合失調症薬「KarXT」(キサノメリン・トロスピウム:xasomeline/trospium)を承認した。商品名は「Cobenfy」

統合失調症の治療薬としてはクロルプロマジン以来70年ぶりの新しい作用機序の薬となった。

クロルプロマジン(Chlorpromazine)は1950年にフランスの製薬会社Rhône-Poulenc、現 Sanofi Aventis)により、抗ヒスタミン薬として開発されたものの、鎮静作用が強すぎる上、抗ヒスタミン作用が少ないと当時は評価された。

1952年2月、フランスの外科医、生化学者Henri Laboritが麻酔とクロルプロマジンを併用したところ、精神症状の変化に気づき、精神科治療での有用性を示唆した。

同年3月に精神疾患患者でのクロルプロマジンの効果がみられ、その後1年の間にフランス全土で統合失調症に用いられるようになった。翌年にはヨーロッパ全土で用いられるようになった。

Bristol-Myers Squibbの新薬は1日に2回飲むカプセル型の治療薬で、価格は月1850ドル(約26万円)。販売は10月下旬までに始める。

「KarXT」は 同社が2023年に140億ドルで買収したKaruna Therapeutics の製品である。

これは従来の統合失調症薬に比べて副作用が少ないことが評価されている。

従来の統合失調症薬は眠気や手足の震え、体重増加などの副作用があり、治療を継続しない患者が多かった。これに対し、FDAによれば「KarXT」 の主な副作用は吐き気や便秘などである。

統合失調症は幻覚や妄想などさまざまな症状を引き起こす精神疾患で、WHOによれば、統合失調症の患者数は世界で2400万人いる。米国で約280万人、日本では約80万人の患者がいるとされている。

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Bristol-Myers Squibbは2023年12月22日、新種の統合失調症治療薬を開発するKaruna Therapeutics Inc.を140億ドルで買収することで合意したと発表した。

Bristolは、二大主力薬である抗凝固薬「エリキュース」とがん免疫治療薬「オプジーボ」は数年以内に特許切れとなり、売り上げの減少が予想されており、Karunaの買収を成長につなげる。

BristolのCEOは、Karunaの統合失調症の経口治療薬KarXTは双極性障害(そううつ病)I型や重度の精神疾患、アルツハイマー病に由来する興奮状態にも効果を発揮する可能性があり、売り上げは数十億ドル規模に達し得るとの見通しを示した。

KarXTは2024年9月までに統合失調症治療薬としての承認決定を控えていたため、Karuna株の前日終値に53.4%のプレミアムを乗せた1株=330ドルを支払うことで合意した。

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