武田薬品と提携の中国企業、胃癌向けの抗がん剤承認申請取り下げ、大腸癌向けは中国、米国、欧州、日本で承認済み

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武田薬品工業が中国のバイオ企業のHUTCHMED (和黃醫藥)と共同販売する抗がん剤フルキンチニブ(fruquintinib)(HUTCHMED の商品名ELUNATE® 、武田の商品名フリュザクラ®)について、HUTCHMEDが中国で胃がん治療向けの承認申請を取り下げたことが分かった。臨床試験(治験)で有効性を証明できず、現在の研究データでは承認を取得するのが困難と判断したという。日本経済新聞が報じた。

フルキンチニブ はHUTCHMEDが開発した大腸がんに対する抗がん剤で、2018年に中国で承認された。血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1/2/3に高い選択性を有する阻害薬で、経口投与され、バイオマーカーの状態にかかわらず、治療抵抗性の転移性大腸がん(mCRC)の様々なサブタイプで使用される可能性がある。


血管新生が阻害される結果、栄養供給を妨げることなどにより腫瘍の増殖を抑制するといった作用機序を有している。

武田薬品は2023年1月に、HUTCHMEDとの間で全世界(中国本土、香港およびマカオを除く)及びすべての適応症を対象としたフルキンチニブの開発および商業化に関する独占的ライセンス契約を締結した。契約一時金として4億米ドルを支払い、開発や販売の達成に応じたマイルストン(最大730百万米ドル)及び売上に応じたロイヤルティを支払う。

HUTCHMED は適応を広げるため、胃がん、子宮内膜がん、腎臓がん向けでも開発を進めていた。

胃がん向けでは既存の抗がん剤との併用で治療につなげる計画だったが、生存期間を延ぱす効果を証明できなかったという。

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大腸癌向け承認:

(中国)

2018年9月に中国国家食品薬品監督管理局(NMPA)により販売承認され、2018年11月に中国でELUNATE®(爱优特® )の販売名で上市された。

(米国)

2020年に米国食品医薬品局(FDA)より、切除不能な転移がある大腸がん(mCRC)患者の治療薬として、その開発においてファストトラック指定を受けた。

2022年12月にHUTCHMEDは米国FDAに対してフルキンチニブの新薬承認申請(NDA)の段階的申請を開始した。

2023年5月25日に治療歴を有する転移性大腸がん(mCRC)の成人患者の治療薬として、フルキンチニブの新薬承認申請(NDA)が、米国食品医薬品局(FDA)より優先審査指定された。

2023年11月8日に、化学療法、抗VEGF療法、および抗EGFR療法(RAS野生型で医学的に適切な場合)の治療歴がある転移性大腸がん(mCRC)成人患者に対して、米国食品医薬品局(FDA)によって承認された。
バイオマーカーのステータスにかかわらず、治療歴を有するmCRC患者の治療薬として、米国で承認された、最初で唯一の3種類のVEGF受容体キナーゼすべてに対して選択性を有する阻害薬である。

(欧州)

2024年6月21日に、化学療法、抗VEGF療法ならびに抗EGFR療法による治療歴があり、トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合剤又はレゴラフェニブのいずれかによる治療中に進行したもしくはこれらに不耐の転移性大腸がん(mCRC)成人患者に対する単剤療法として、欧州委員会(EC)によって承認された。

(日本)

武田薬品は2024年9月24日、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1/2/3に対して選択性を有する経口のチロシンキナーゼ阻害剤 「フリュザクラ®カプセル1mg/5mg」(一般名:フルキンチニブ) について、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」を効能又は効果として、厚生労働省より製造販売承認を取得した。

承認は主に、米国、欧州、日本およびオーストラリアで実施された国際共同第3相試験であるFRESCO-2試験の結果に基づいている。

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