Rio Tinto、Arcadium Lithiumを買収

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資源大手 Rio Tintoは10月9日、オーストラリアに拠点を置くリチウム生産のArcadium Lithiumを買収することで合意したと発表した。買収額は67億ドル。
ロイターは4日、両社が協議に入っており、アルカディウムの評価額は40億─60億ドルかそれ以上になる可能性があると伝えていた。

Rio Tintoはリチウム供給でAlbemarleとSQMに次ぐ世界最大手の一角に躍り出る。

Albemarle はアメリカノースカロライナ州に本社をおく機能化学品の会社で、2015年にリチウム製品大手Rockwood Lithiumを62億ドルで買収し、これまでの臭素事業部、触媒事業部にリチウム事業部を加えた3つの事業を大きな柱にしている。

北米唯一のリチウム鉱山を運営し、チリと西オーストラリアにも拠点を持っている。

チリと米国ネバダ州でリチウムを採掘・生産し、ドイツのLangelsheim でリチウムコンパウンド、リチウムメタルの生産をしている。

立地 製品
チリ Antofagasta (Atacama塩湖) リチウムカーボネート、リチウムクロライド、
カリ、Bischofite(塩化マグネシウム)
米国 Silver Peak, Nevada リチウムカーボネート、リチウム

SQM (Sociedad Química y Minera de Chile S.A. )はチリを代表する化学メーカーで、ヨウ素やリチウムの生産を行っている。

中国の天斉リチウム(Tianqi Lithium)はSQMの大口株主となっている。

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オーストラリアに拠点を置くリチウム資源開発大手Allkemと同業米Livent は2023年5月10日、対等全額株式交換方式で合併すると発表した。統合会社の社名はArcadium Lithium plcである。2024年1月4日、両社の株式合併が完了した。

Allkem Limited(旧称 Orocobre Limited )は特殊リチウム化学品会社。

主な事業には、アルゼンチンのリチウム塩水およびホウ砂事業、オーストラリアの硬岩 (ハードロック)リチウム事業、および日本の水酸化リチウムがある。

豊田通商は、2014年にAllkem Limitedと共に、アルゼンチンのオラロス塩湖のリチウム生産拠点Sales de Jujuyで、炭酸リチウムの生産を開始した。その後、炭酸リチウムの供給にとどまらず、高品質な水酸化リチウムを国内外のメーカーに安定的に供給するため、2018年に豊通リチウムを設立し、福島県楢葉町に国内初となる水酸化リチウムの製造工場建設を進めてきた。

同工場では、Sales de Jujuyで生産された炭酸リチウムを水酸化リチウムに加工する。生産能力は10,000トン/年で、豊通マテリアルを通じ、車載向けなどの電池用途に限らず工業用途も含め、国内外のメーカーに販売する。

Livent Corp は、完全に統合されたリチウム会社である。

主にリチウムベースの電池、特殊ポリマー、および化学合成アプリケーションに使用される様々なリチウム製品で使用するためのリチウムを製造する。
電気自動車(EV)およびより広範な電池市場への高性能リチウム化合物の供給に焦点を当てる。

高性能リチウムイオン電池で使用するための電池グレードの水酸化リチウムを含むリチウム化合物を製造する。また、ポリマーや医薬品の製造に使用されるブチルリチウムのほか、非二次電池や航空宇宙用途の軽量材料の製造に使用される高純度リチウム金属など、様々な特殊リチウム化合物も供給する。製品カテゴリーには、「バッテリーグレード水酸化リチウム」、「非バッテリー水酸化リチウム」、「ブチルリチウム」、「高純度リチウムメタル」などの特殊製品が含まれる。

リチウムをテスラ、GM、BMWなど自動車メーカーへEVバッテリー材料を供給している。

同社は金属投資家グループとともに、Nemaska Lithium Inc.が経営破綻した後、今年に設立されたQuebec Lithium Partners の50%を買収した。

ソフトバンクグループが出資するカナダのリチウム鉱山会社、Nemaska Lithium Inc.は2019年12月23日、ケベック州高等裁判所に日本の会社更生法に相当する企業債権者調整法(Companies' Creditors Arrangement Act )の適用を申請すると発表した。

同社はリチウムの採掘や精錬を手掛けるが、リチウムはEV市場の拡大を見込んだ増産が相次ぎ、2018年以降は供給過剰への懸念から相場が低迷している。ネマスカも2019年に入り資金繰りが急速に悪化。ケベック州内で進めていた採掘・製錬場の新規開発案件などが暗礁に乗り上げていた。


Arcadium Lithium の事業

場所 所有比率 製品、能力 状況
炭酸リチウム Hombre Muerto塩湖 アルゼンチン、CATAMARCA州 100%所有 炭酸リチウム、
塩化リチウム
稼働中・拡張中

Olaroz

アルゼンチン、
JUJUY州
66.5%所有 炭酸リチウム 稼働中・拡張中

Sal de Vida

アルゼンチン、CATAMARCA 州 100%所有 炭酸リチウム 開発中

Cauchari

アルゼンチン、JUJUY州 100%所有 炭酸リチウム 開発前

水酸化リチウム



アルゼンチン産の
炭酸リチウムを原料

Bessemer City

米国 100%所有 15,000トン 生産と試運転
如皋市 中国 独占受託製造 30,000トン 生産と試運転
浙江省
楢葉 日本 75%所有(豊田通商25%) 10,000トン 試運転

Nemaska Lithium

カナダ QUÉBEC 50%所有
州政府のInvestissement Québeが50%
スポジュメンから
水酸化リチウムへ
開発中
ブチルリチウム Bessemer City ノースカロライナ州 合計3,265トンの生産能力
Bromborough 英国
張家港市 中国
リチウム金属&
その他
Bessemer City 米国ノースカロライナ州 100%所有 高純度リチウム金属、
特殊有機物、その他。
250トン
西半球では唯一のメーカー
稼働中
LIOVIX® ノースカロライナ州 米国 100%所有 リチウムイオンバッテリーの性能を向上 開発中
スポジュメン精鉱

Mt Cattlin

西豪州 100%所有 スポジュメン精鉱 稼働中
Galaxy カナダ、ケベック 100%所有 スポジュメン精鉱 開発中

 

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