キオクシア上場

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キオクシアホールディングスは、11月22日、東京証券取引所より、株式の東京証券取引所プライム市場への新規上場を承認されたと発表した。上場日は2024年12月18日を予定している。


東証は2020年8月27日、キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)の上場を承認した。

上場予定日は10月6日で、東証1部か2部に上場する。想定売り出し価格は1株3,960円で、最終的な売り出し価格は9月28日に決まる。時価総額は2兆円を超え、同年最大の新規株式公開となるとみられた。

しかし、同社は上場を延期した。大口取引先である中国の華為技術(Huawei)に対する米政府の取引規制で 収益性の急激な低下が予想され、先行きへの不透明感が高まっており、上場の時期を慎重に検討するとした


その後、動きがなかったが、本年
8月23日に東京証券取引所に上場を申請したことが分かった。


同日の取締役会で下記の決議を行った。

募集株式:普通株式 21,562,500 株
払込期日:2024 年12 月17 日(火曜日)
発行価格:未定 
想定価格は1株当たり1390円
調達金額:諸経費を差し引いて277億円を調達
現在の株主の売出し:下記   

国内 海外
BCPE Pangea Cayman, L.P.
(Bain)
4,957,200 株 9,490,200 株
東芝 12,329,300 株 23,603,400 株

                
増資に伴う各株主の出資比率移動は下記の通り。

  Bain / SK Hynix連合は4社に分割して出資しているが、このうち韓国のSK Hynix分はBCPE Pangea Cayman 2 Ltd.と思われる。

当初 2020/8/27  現状(議決権) 増資対応 増資後
東芝 40.2%
優先株転換
東芝               40.64%

500億円分売出し

32,3%
HOYA 9.9% HOYA 3.13%

3.0%
Bain / SK Hynix 49.9% BCPE Pangea Cayman, L.P. 25.92 56.23%

200億円分売出し

51.3%

BCPE Pangea Cayman 2 Ltd.
  (SK Hynix)
14.96
BCPE Pangea Cayman 1A, L.P 9.37
BCPE Pangea Cayman 1B, L.P 5.99
一般株主 13.4%
合計 100%   100%

資料 2020/8/31 キオクシア、10月に上場 (実際にはこの時点では上場は延期となった。)

優先株を持っていた東芝、Bain、SK Hynixは2020/8/27に全て普通株に転換した。
しかし、SK Hynixのみ他に転換社債(1290億円)を持っており、現在もそのままである。

SK Hynix の扱いが今後、問題となる。

キオクシアはNAND型フラッシュメモリのメーカーで、この事業で米国のWestern Digital と組んでいる。

SK Hynix もNAND型フラッシュメモリ事業を行っており、2020年にはIntel からこの事業を買収している。

2020/10/22 SK Hynix、IntelのNAND事業買収

現在、Sk HynixはBainと組むことで株主となっているが、単なる株主として参加することが同社の目的ではない。

東芝は2017年6月21日に取締役会を開き、SKハイニックスが参加する韓米日連合を半導体メモリー事業の売却に向けた優先交渉対象者に決定した。SKはBain Capitalに融資する形で参画するため、当時の東芝の綱川智社長は「SKには議決権がなく、技術流出は防げる」と指摘していた。

しかし、「東芝メモリ」の買収で優先交渉先となった産業革新機構、Bain、SK Hynix などの「日米韓連合」内での協議の過程で、SKは、将来的にBain Capitalから議決権(33.4%) の一部か全部を取得できる権利などを持つことを求めたという。33.4%の議決権は重要議案への拒否権を発動できる。SKハイニックスが単に融資のためだけに参加することはあり得ず、事業への参加を狙っているのは当然のこと。

東芝メモリの売却に当たり、Western Degital にとっては、メモリ事業での競争相手である韓国のSK Hynix やSamsung が経営に参加したり、技術情報にアクセスするのは全く認められない。

逆にBain Capital にとっては、今回の買収に参加し、企業価値を上げたうえで、高値で転売するのが目的であり、将来の売却先を制限されるのは好ましくない。

SK Hynix にとっては事業参加が目的であり、単なる出資では意味がない。

とりあえず、Western Degital への配慮で、SK Hynixに関しては、2028年までの10年間の機密情報へのアクセス制限と10年間は15%超の議決権は与えられないとの条件を付けた。 

今後、Bainが株価の値上がりを待ち、株を売却するのは当然である。

その際にSKが株を買い増ししたり、経営に参加すれば独禁法上も問題になる。

同社にとって厄介な問題である。

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