丸紅は4月18日、ロシア最大の国営石油会社 Rosneft との間で、極東LNG事業及び石油ガス鉱区の共同探鉱・開発に関する戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。
丸紅はこれまで、Rosneftとの間で原油・ナフサ等の引取り、石油化学プラント事業における機器納入、サハリン島における共同物流事業等を通じて長年に亘る提携関係を構築してきた。
とりわけサハリン1プロジェクトにおいては、丸紅は日本側パートナーであるサハリン石油ガス開発の主要株主として、Rosneftと緊密な協力関係にある。
今回締結した戦略的パートナーシップ契約は、ロシア極東地域におけるLNGプロジェクトの実現に向け、マーケティング、プラントの設計・建設、資機材の供給、ファイナンス、輸送、エンジニアリング等を共同で検討、推進するものであり、Rosneftが保有する石油ガス鉱区の共同探鉱・開発も視野に入れるもの。
Rosneftは現在、サハリン1の天然ガスのLNG基地建設を計画している。
サハリン島やハバロフスク地方を対象に建設場所の候補地を選考しているが、サハリン1計画の原油輸出基地であるDe-Kastriになると見られている。
天然ガス輸入はガスを氷点下162度以下に冷やしたLNGを特殊なタンカーで運ぶ方法に頼っている。
サハリン1プロジェクト
事業主体 Exxon Neftegas(ExxonMobil 子会社、オペレーター) 30.0% サハリン石油ガス開発(SODECO)
日本政府 50.00 % 伊藤忠グループ 18.12 石油資源開発 14.46 丸紅 11.68 国際石油開発帝石 5.74 30.0% ONGC Videsh (インド) 20.0% Rosneft
Sakhalinmorneftegas-Shelf 11.5% Rosneft-Astra 8.5% 開発鉱区 オドプト、チャイヴォ、アルクトン・ダギ 推定可採
埋 蔵 量①石油 約23億バレル
②天然ガス 約4,850億立方メートル出荷 原油:不凍港 De-Kastriから海上輸送 天然ガス:検討中の基地でLNGに加工、海上輸送 参考 サハリン2プロジェクト
事業主体 当初 現在 Shell 55% 27.5%-1株 Gazprom ー 50.0%+1株 三井物産 25% 12.5% 三菱商事 20% 10.0% 開発鉱区 ピルトン-アストフスコエ、ルンスコエ 推定可採
埋蔵量①原油 10億バレル
②天然ガス 4,080億立方メートル出荷 原油:サハリン南端プリゴロドノエから海上輸送 天然ガス:プリゴロドノエでLNGに加工、海上輸送
能力年間960万トン(480万トンx 2基)
天然ガスは輸送距離が4000キロ以下ならパイプラインを敷設した方がコストが安く、それ以上ならLNG船で運んだ方が有利といわれる。 (「パイプライン費用」 対 「液化費用+輸送費」 の比較)
サハリン1の天然ガスについては、首都圏まではわずか約2000キロのためExxonMobilはパイプラインを選択して事業調査を実施し、2001年6月に日本海岸か太平洋岸のいずれかの海底にパイプラインを引いて2008年に天然ガスの供給を開始すると発表した。
しかし、最大の需要家である東京電力が購入に動かず、この計画は白紙に戻った。
当時、経産省、電力業界は一体となって原発の建設を推進しており、天然ガスの優先度が低いと考えていた 。
「天然ガスの発電コストは原子力の1.2倍」といった試算が行われていた。
さらに、パイプラインができれば途中で簡単に支線を引けるため、新規参入企業が発電所をつくるのを電力会社が恐れたとの説もある。
ExxonMobilは2006年11月に中国のCNPCとサハリン1の天然ガスの供給でMOUを締結したが、まだ最終合意に達していない。
2013年2月にExxonMobilとRosneftはロシアの太平洋岸にサハリン1の天然ガスの液化プラント建設を検討することで合意した。
これまでLNGの輸出はGazprom独占となっていたが、プーチン大統領は本年2月に徐々に輸出を自由化する意向を表明している。
既報の通り、丸紅はLNG輸送ビジネスを拡大していく方針。
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