イスラエルのTeva Pharmaceuticals、同業のMylanに買収提案

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既報のとおり、米国のジェネリック医薬品大手のMylan N.V. は4月8日、アイルランド製薬大手のPerrigo Company plc に買収を提案したと発表した。

現金と株式交換での1株当たり205ドルでの買収で、買収総額は300億ドル近くにのぼる見通し。

欧米で大衆薬や健康食品を手掛けるPerrigoの買収を通じて後発薬以外にも事業を多角化し、顧客基盤を広げる考え。

2015/4/16  ジェネリック医薬品大手のMylan、アイルランド製薬大手に買収提案

Perrigo はこの時点では提案を「検討する」と発表した。

しかし、4月21日に同社の取締役会が満場一致でMylanの買収提案を拒否したと発表した。
Mylan の提案はPerrigoの価値とその将来の成長見通しを著しく過小評価しており、株主の利益にならないとしている。


イスラエルの後発医薬品メーカーのTeva Pharmaceuticalsは同じ21日、そのMylanに対し現金と株式による400億ドルでの買収提案を行ったことを明らかにした。

Mylanの全株式を1株当たり82ドルで、半分を現金、半分をTeva の株式で買収するもの。

82ドルという価格は、MylanのPerrigo買収提案発表前の株価に対して37.7%のプレミアム、Tevaによる買収の噂が出た3月10日以前の株価に対しては48.3%のプレミアムとなっており、Mylanの株主のとって極めて有利であるとしている。

(TevaがMylanに買収提案を行う可能性については以前から取り沙汰されており、Tevaによると、3月10日以降、両社の取引をめぐるうわさが広まった。)

Teva は両社の統合により、2014年ベースで売上高は300億ドル、EBITDA(利払い・税金・償却前利益)は90億ドルとなり、ジェネリック市場での地位が高まるとし、買収から3年以内に20億ドルの経費節減効果が見込めるとしている。

なお、4月17日にBloomberg がTevaがMylanの買収を検討していると報じたが、これに対しMylan は、Perrigoとの合意に向け全力を尽くす構えで、身売りに関心はなく、また、合併が独禁審査を通過するとは考えられないとコメントした。

しかし、その後にPerrigoがMylanによる買収提案を拒否したため、Mylanにとっては対案がなくなった形となった。


付記

Mylanは4月27日、Tevaの買収案を拒否した。マイランの企業価値を「大幅に過小評価している」としている。

Mylanの会長はTevaに宛てた書簡で、「1株当たりの価格が100ドルを大幅に上回る」という「出発点」でなければ、協議を行うことは検討しないと言明した。

これとは別に、MylanのPerrigo買収提案は拒否されたが、敵対的買収に切り替えることを計画している。




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