東燃ゼネラルと関電の石炭火力プロジェクト 断念

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東燃ゼネラル石油と関西電力の子会社 関電エネルギーソリューションは、東燃ゼネラル千葉工場敷地内に100万kWの石炭火力発電所の建設プロジェクトの事業化検討を進めていたが、3月23日、計画の断念を発表した。


東燃ゼネラル石油と関電エネルギーソリューションは2015年8月、「市原火力発電合同会社」を設立したことと、東京電力の平成26年度火力電源入札に落札したことを発表した。
当初は一部を東京電力に売電する一方、残りを企業や家庭に販売する。

東燃ゼネラル石油は2016年4月に家庭向け電力小売事業に参入、両社とも首都圏市場攻略を目指した。

首都圏にある立地条件を活かしつつ、東燃ゼネラルのプロジェクトマネジメント経験と関電エネルギーソリューションの火力発電所建設から運営・保守に至る知見を最大限活用することで、高効率・大容量の石炭火力発電所による低廉で安定した電力供給の実現を目指 すとした。

現在は環境アセスメントの調査の段階

今回の断念理由として、本プロジェクトの事業性および事業環境の変化等に関する両社の見解を踏まえとしている。

報道では、事業環境の変化に加えて収益性が悪化したため、東燃ゼネラル側が計画の撤回を申し入れ た。CO2排出抑制を目指す環境省の反対も影響したとみられる。
関電側は「事業を継続できないような変化はない」との認識だったが、単独での推進は困難と判断した。

東燃ゼネラルは、価格競争の激化や新電力への移行が低調なことなどから、今回の事業は収益性が見込みづらいと判断した。
また、4月にJXと経営統合するが、JXは川崎市内などにある大型火力発電所の能力増強を進めており、千葉の石炭火力がなくとも当面は電源を確保できる見通しが立った。


2016年4月の電力小売り全面自由化後を見据え、大型火力発電所の建設計画が相次いだ。
なかでも日本の電力需要の3割超を占める首都圏市場への参入を目指す電力大手の動きが目立つ。

2015/4/22 首都圏向け、火力発電計画 相次ぐ 

石炭火力については、CO2の排出規制への機運が高まっており、環境省は3月10日に、中国電力とJFEスチールが計画している蘇我火力発電所建設計画について、環境大臣意見を経済産業大臣に提出し、事業実施の再検討も選択肢とするよう求めている。

2017/3/16 環境省、千葉の石炭火力発電所計画の再検討求める 

両計画の概要:

(計画断念) (環境省、再検討要求)
東燃ゼネラル / 関西電力 中国電力 / JFEスチール
名称 市原火力発電 蘇我火力発電所
立地 東燃ゼネラル千葉工場敷地内 JFEスチール東日本製鉄所構内
発電規模 約100万kW 約107万kW
燃料 石炭 石炭
運転開始 2024年予定 2024年予定
出資 東燃ゼネラル 50%
関電エネルギーソリューション 50%
中国電力  主体
JFEスチール

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