東芝メモリの売却、9月13日に決定

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関係者によると、東芝の綱川智社長は9月5日に主要取引行を訪れ、9月13日に開く予定の取締役会で売却先を決定する意向を伝えたという。今度は大丈夫だろうか。


Western Digital が、東芝側に新たな提案を示した。

東芝は9月6日午前に取締役会を開き、東芝メモリのWestern Digital 陣営への売却に向けて 議論したが、結論は持ち越された。
しかし、進展があった模様で、後記のとおり、同時に発表した新工場計画ではWestern Digital を排除していない。

当初の構想は下記のとおりであった。

出資 転換社債 融資 合計
Western Digital 1,550
KKR 3,000
産業革新機構 3,000
政策投資銀行 3,000
(一部優先株)
東芝 2,000
郵貯銀行ほか 450
銀行団 7,000
合計 11,450 1,550 7,000 20,000


Western Digital は、当初は議決権を持たないこと、将来にわたって議決権は3分の1未満とすることも容認したとされ、
3年後をメドに株式公開する点で一致している。

しかし、東芝はWestern Digitalの議決権の割合を10年間にわたって15%にとどめるよう要求、Western Digitalは第三者による取得を防ぐため、議決権比率を33.3%まで引き上げることを主張した。
また、東芝はKKRが将来、株式をWestern Digitalに直接譲らず、市場で売却するよう求めているが、自由に売りたいKKRは難色を示している。

東芝は8月30日の定時取締役会で東芝メモリの売却を決める予定であったが、Western Digital との協議がまとまらず、またBain Capital が新提案を行ったこと、台湾の鴻海精密工業も新たな提案をする意向を示したことから、決定を見送った。

2017/9/4 東芝メモリの売却、進まず 


今回の新しい提案では、Western Digital は転換社債の引き受けを止め、東芝の出資分を増やす。
同業のWestern Digital が表だって買収の枠組みに加わらないことで、各国の独占禁止法の審査を通過しやすくする狙いがある。

その代わり、四日市工場における協業体制で Western Digital 側の関与を強めることを求めている。

現在は四日市工場の能力の6割弱を東芝、4割弱をWestern Digitalが保有している。

また第6製造棟は当面東芝が単独で行うとしている。
後記の通り、9月6日に東芝は新規拠点を岩手県北上市の北上工業団地エリアに決めた。

Western Digital は、これらを含めて等分にすることを求めている。

四日市工場のNAND型フラッシュメモリの生産体制は次の通り。

  JV 引取比率
第3製造棟 Flash Partners(東芝 50.1% / SanDisk 49.9%) 当初は均等引取、
2008/10 改組*:30%分は東芝が単独運営、70%分は従来通り JVで均等引取 
第4製造棟 Flash Alliance(東芝 50.1% / SanDisk 49.9%)
第5製造棟 Flash Forward(東芝 50.1% / SanDisk 49.9%) 均等引取
新第2製造棟
第6製造棟 (東芝単独)  


* 2008年にSunDiskが韓国サムスン電子に買収提案を受けた。東芝はSunDisk保有分の生産設備を買い取って資金支援した。

Western Digital 側は、四日市工場が唯一の生産拠点であり、これの増設から締め出されると競争力を失うこととなり、SunDisc を買収した意味を失う。

将来の出資などで東芝メモリへの経営関与も求めるが、将来の協議に委ねる。
(将来のWestern Digital の出資比率の上限を巡って調整が続く。)

この新提案は、経済産業省の強い意向を受けてまとめられたものとされる。

ーーー

東芝は9月6日、東芝メモリの新規拠点を岩手県北上市の北上工業団地エリアに決定し、用地拡張に関する調査や自治体との調整などの準備作業を開始すると発表した。
東芝グループのジャパンセミコンダクター(旧岩手東芝エレクトロニクス)隣接地に建設する。

2018年に新棟の建設開始を、2020年ごろの量産開始を目標に準備作業を行う。
当該新棟への「SunDisc の参画を別途協議する」としている。


東芝はかつて、岩手東芝エレクトロニクス(岩手県北上市)の敷地内にNANDフラッシュメモリーの新工場を建設する計画を発表したものの、リーマンショックの影響で計画を凍結した経緯がある。

四日市工場は、今回の第6製造棟建設で空地がなくなる。
四日市工場でも、第7製造棟の建設の検討を開始した。「土地買収はまだ済んでいないが、将来に向けて第5製造棟の隣接地を整備していきたい」


参考

2017年6月28日 発表 96層積層プロセスを適用した製品を試作

3次元フラッシュメモリ「BiCS FLASH™」の96層積層プロセスを適用した製品を試作し、基本動作を確認した。
2017年後半にサンプル出荷、さらに2018年に量産開始を予定しており、四日市工場の第5棟、新・第2製造棟および2018年夏に第一期が竣工予定の第6製造棟でも製造する予定。

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