EUは3月21日、バイエルのモンサント買収を承認すると発表した。
問題となった両社の種子、殺虫剤、デジタル農業での重複に対応するため、バイエルが提出した対策を実施することが条件となっている。
付記 ロシアは4月20日、条件付きで承認した。
付記
バイエルは2018年4月26日、2017年10月のBASFとの合意内容に加え、BASFに事業と資産を17億ユーロで売却することで合意した。(合計76億ユーロ≒ 90億ドル)
新たに追加されたのは以下の事業で、EUや他の諸国の独禁法当局との約束を満たすための処理。
- Nunhems®ブランドで世界的に販売されているすべての野菜種子事業
- Poncho®、VOTiVO®、COPeO® 、ILeVO®の各ブランドで販売されている種子処理製品
- 小麦交配種の研究開発プラットフォーム
- 最新のデジタル農業プラットフォーム、xarvioTM
付記 米国は5月29日、条件付きで承認した。
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Bayerは2016年9月14日、Monsantoの現金での買収で合意したと発表した。
買収は2017年末までに完了する見通しとしていた。
2016/9/19 Bayer、Monsantoを買収
EUは2017年8月22日、買収によって農薬や種子などの分野で、競争が損なわれ、販売価格の上昇や品質の低下、選択肢の減少、技術革新の停滞などにつながる懸念があるとの暫定的な判断を示し、本件についてのin-depth investigation を開始した。
2018年1月8日までに買収を承認するかどうか判断するとした。
これを受け、Bayerは2017年10月13日、Monsanto買収を進めるため、特定の Crop Science事業をBASFに59億ユーロで売却すると発表した。
売却事業の2016年の売上高は約13億ユーロ。Monsantoの買収の完了を条件とする。
売却する事業は次の通り。
1) 非選択性のアミノ酸系除草剤グルホシネートアンモニウム塩(製品名:Liberty®、Basta® 、Finale® ) 対象地域は全世界。
2) 下記の種子事業
北米でのハイブリッド キャノーラ油 InVigor®(LibertyLink® 技術使用:除草剤Liberty に耐性を持つ)
欧州での菜種(oilseed rape)
欧州、米大陸での棉(インドと南アは対象外)
米大陸での大豆
関連知財、設備、育種技術
LibertyLink® 形質 及び trademark
従業員1,800 人超 (主として、米国、ドイツ、ブラジル、カナダ、ベルギー。BASFは最低3年の雇用継続を約束)2017/10/16 Bayer、Monsanto買収の独禁法対策で、BASFに一部事業を売却
EUは当初2018年1月8日までに買収を承認するかどうか判断するとしたが、これを3月12日に延ばし、更に4月5日に延ばした。
Bayerは承認を確実にするため、Nunhems®ブランドで世界的に販売されている野菜種子事業の売却について、BASFと最終的な合意に向けた独占的協議をしていることを3月7日に明らかにした。
中国商務部は2018年3月13日、BayerによるMonsanto買収を条件付きで承認すると発表した。
承認に当たり、次の条件をつけた。
1) Bayerの世界の野菜種子事業、関連設備、人員、知財その他の処分
2) Bayerの非選択性除草剤(グルホシネートアンモニウム塩)事業と関連設備、人員、知財その他の処分
3) Bayerの世界のコーン、大豆、綿花、菜種の品種と関連設備、人員、知財その他の処分
4) 中国でのデジタル農業
Bayer、Monsanto、および統合会社の中国市場でのデジタル農業製品の商品化の5年以内に、
中国の全ての農業ソフトウエア開発企業は、正当で差別的でない条件で、ソフトウエアの使用を認められること。
Bayerはデジタル農業についての条件を受け入れた。
2018/3/16 中国商務部、BayerのMonsanto買収を条件付きで承認
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EUは①種子・形質 (Seeds and traits)、②農薬、③デジタル農薬の分野で多くの懸念を示した。
EUは今回、Bayerが提案した下記の対策が、これらの問題を完全に解決するとした。
・両社で重複する種子と農薬の事業で、Bayerの事業と資産を処分
・それらには、種子・形質のグローバルなR&Dと、Monsantoの除草剤glyphosateと競合する製品の開発活動を含む。
処分対象にはBayerの線虫に対する種子の処理と将来競合すると思われるMonsantoの資産を含む。
・最後に、Bayerはグルーバルのデジタル農業についてライセンスを認めると約束した。
Bayerは前記の通り、2017年10月13日に特定の Crop ScienceをBASFに売却すると発表、さらに2018年3月7日に、Nunhems®ブランドで世界的に販売されている野菜種子事業の売却について、BASFと最終的な合意に向けた独占的協議をしていることを明らかにしている。
EUは現在、この売却がEUの求める条件に合致するかどうか、また、新たな競争上の問題を生まないかをチェックしている。
このチェックが完了してから、BayerはBASFにこれらを売却できる。
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前記の通り、中国は2018年3月13日に承認を発表した。
ブラジルは2018年2月7日、買収を承認した。(2017年10月発表の特定の Crop Science事業のBASFへの売却を条件)
オーストラリアは3月22日、買収に反対しないと発表した。
ロシアは審議中。
米国は今回、審査を早めるとしたが、欧州とは状況が違うと述べた。「欧州では遺伝子組み換え種子はほとんど禁止されているが、米国では広く使われている。買収が米国の農家と消費者に与える影響の調査を続ける」とした。
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