EU、米国の鉄鋼・アルミニウム輸入制限への報復関税 、7月発動へ

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米政府は5月31日、カナダ、メキシコ、EUに対し鉄鋼・アルミニウムへの輸入関税を適用すると発表した。適用は午前0時からで、税率は鉄鋼が25%、アルミニウムが10%。

2017/6/2  米、EU・カナダ・メキシコに鉄鋼・アルミ関税発動   

これを受け、EUの欧州委員会は6月6日、対抗措置として、米国からの輸入品に報復関税を課す方針を正式決定した。

世界貿易機関(WTO)ルールでは、自国産業の保護目的で高関税を導入した加盟国に、他の加盟国が影響を相殺するために追加関税を課すことが認められている。

EUは対象品目リストをWTOに通告済み。

EUは被害を2017年ベースで64億ユーロ(71億米ドル)としている。

米のEUからの輸入 追加税率 追加税額
Steel 製品 59億ドル 25% 15億ドル
アルミ製品 12億ドル 10% 1億ドル
合計 71億ドル 16億ドル

EUは直ちに28億ユーロ(32億ドル)相当の製品に課税する。

対象は、鉄鋼・アルミ製品のほか、オレンジジュース、バーボン、たばこ、化粧品、シャツ、ズボン、靴、バイク、ボートなど。

残りの36億ユーロ(38億ドル)相当の製品には、3年後又はWTOでの裁定のあった時のいずれか早い時期に課税する。

EUの報復課税

対応する米国の課税

時期 製品リスト 追加税率 製品 EUからの輸入 追加税率 追加税額
即時課税 Annex 1 25%
(1品目のみ10%)
Carbon and alloy flat,
Carbon and alloy long
32億ドル 25% 7億ドル
後日 Annex 2 10%、25%、35%、50% Steel 残り 26億ドル 25% 7億ドル
10% アルミ製品 12億ドル 10% 1億ドル
合計 71億ドル 16億ドル

端数整理で合計は合わず。

製品リスト   List of products for rebalancing

付記

後で気が付いたが、即時課税対象品目の Annex 1 の一番最後に、唯一の追加税率 10%として載っているのが、関税番号 95044000 Playing cards、遊戯用カード「トランプ」 である。

これを載せたのと、これだけ10% にしたのは、何故なのか? トランプ大統領へのなんらかのメッセージか?


付記

EUは、米国の鉄鋼・アルミ輸入制限により、米国から締め出された鉄鋼製品が大量に欧州に流入するのを防止するため、7月中旬にも緊急輸入制限(セーフガード)を暫定発動する可能性があるとの見通しを示した。

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