トランプ大統領、対中貿易制裁の追加の検討を指示

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トランプ米大統領は6月18日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税を巡り、新たに2千億ドル相当の輸入品に10%の追加関税を検討するよう米通商代表部(USTR)に指示したと発表した。

付記

トランプ米大統領は8月1日、2千億ドル分の中国製品を対象とした第3弾の対中制裁を巡り、関税率を当初の10%から25%に引き上げるよう米通商代表部(USTR)に指示した。

米国による500億ドル分への25%の関税に対し、中国が同規模の報復措置を打ち出したのを受けての追加措置。

「中国は不公正な慣行を変更する意思がないようだ。今や(報復関税で)米国の企業や労働者、農家を脅している」と強く批判した。米国内での意見募集など米通商法301条が定める手続きを経たうえで、中国が不公正慣行の是正を拒否し、報復関税を実施する場合に発動するという。

中国が再び報復関税で対抗してきた場合は、さらに2千億ドル分の措置を実行すると強調した。

トランプ米政権は6月15日、中国の知的財産権侵害への制裁措置として、中国による知財侵害の被害額と同規模の500億ドル分の中国製品に25%の追加関税を課すと発表した。

中国商務省は6月16日、報復措置として、659品目、総額500億ドル規模の米国製品や農水産品に25%の追加関税を課すと正式発表した。

2018/6/16 米、対中制裁関税 発動へ、中国も報復


これに対し、商務部の報道官は6月19日、次の談話を発表した。

米国は500億ドル規模の追加関税リストを打ち出した後、さらに悪いことに、2千億ドル規模の追加関税リストを制定すると脅しをかけてきた。

このような極めて大きな圧力をかけてゆすり取るようなやり方は、両国がこれまで重ねてきた協議での共通認識に背くものであり、国際社会を強く失望させるものでもある。

米国が理性を失い、さらにリストを打ち出すなら、中国は数量と品質とが結びついた総合的措置を執らざるを得ず、強力な対抗措置を執らざるを得ない。

米国が発動した貿易戦争は、市場のルールに背くものであり、当今の世界の発展トレンドに合致しておらず、中米両国の国民と企業の利益を損ない、全世界の人々の利益を損なうものだ。

中国の対応は自国と自国民の利益を保護し守りぬくためのものであり、また自由貿易体制を保護し守り抜くため、人類共通の利益を保護し守り抜くためのものだ。

外部環境がどのように変化しようとも、中国は常に既定のリズムを踏まえ、国民を中心とする方針を堅持し、揺るぎなく改革開放を推進し、揺るぎなく経済の高い品質の発展を推進し、現代的経済システムの構築を加速する。

中国外務省の副報道局長は「中国は貿易戦争をしかけないが恐れはしない」と述べた。


米国の対中輸入は2017年は5,063億ドルで、これに対し、中国の対米輸入(統計は米国の対中輸出)は1,304億ドルしかない。

このため、米国の6/15発表の500億ドルに対しては、中国は同額の制裁は可能だが、今回の追加2000億ドルについては、対米輸入は残り804億ドルしかなく、同額の制裁は不可能である。

このため、中国は今回、「数量と品質とが結びついた総合的措置」を執るとした。

アナリストは、中国はモノの貿易ではなく、サービスを対象にするのではと見ている。米国が黒字を稼いでいる旅行(中国人旅行客の米国への渡航制限)や教育である。

また、中国市場に頼っている米国企業を対象とした対策をとる可能性もある。昨年、中国と韓国の関係が悪化した際に、ロッテ等韓国企業が大きな被害を受けた。

米国は前回の500億ドル相当の制裁では、4月時点での約1300品目からテレビなど消費者向け汎用品などを除外した。
今回、これらが含まれることとなると、米国の消費者に大きな影響を与えることとなる。

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