25日は給与が支給されない2度目の給料日で、米連邦航空局が航空交通管制官の不足を理由にニューヨークのラガーディア空港行きのフライトを一時的に停止する一件があり、大統領と議会には政府閉鎖解除の圧力が一層強まっていた。
上院は同日、満場一致で「国境の壁」建設費を含まないつなぎ予算を承認、その後、下院が承認し、ホワイトハウスに送った。大統領が署名し、2018年12月22日から始まり、35日間続いた政府閉鎖はいったん終わった。
1995年12月は、両院で多数を占める共和党と民主党クリントン政権が、予算と国債上限引き上げで対立した。
上下両院の合同委員会があと3週間、国境警備計画について交渉する。
大統領は、今後3週間の協議で与野党が妥協案を見いだせなければ、再び政府閉鎖も検討すると表明した。また、議会の承認を得ずに政府の現行予算から建設費を捻出する「非常事態宣言」の発動も検討するとしており、2月16日以降、再び混乱するリスクは残る。
非常事態宣言が発令された場合、国防長官は「軍隊の派遣を支えるために必要」な「軍の建設プロジェクトに着手」することができる。その際、議会の事前承認なしに国防総省の建設予算を用いることが可能。
ただ、議会が既に承認した米軍住宅などのプロジェクト予算から拠出する必要がある。
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これまでの経緯:
米議会上院の与野党は2018年12月21日午後8時30分に、新たなつなぎ予算案を可決することなく22日正午まで休会に入った。 国土安全保障省、司法省、住宅都市開発省など、連邦政府の約4分の1にあたる機関では12月22日午前0時1分に予算が失効した。
2018/12/31 米政府機関の一部閉鎖、年明けまで続く
12月22日に始まった政府機関閉鎖は米国史上最長となっており、自宅待機や無給での労働を続ける職員は約80万人に上った。
この間、大統領と民主党のペロシ下院議長との間で、さや当て合戦があった。
トランプ米大統領は1月23日夜、これを受け入れた。
トランプ米大統領は1月17日、連邦政府の部分閉鎖を理由に、ペロシ下院議長のアフガニスタンへの出張を直前で中止させた。 議長の出張には空軍機を使うことが認められているが、大統領は、議長と同行議員団が乗る予定だった米空軍機の使用を直前に禁止した。
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2019年1月12日には、政府閉鎖はこれまでの最長(21日)を超え 、1月22日には32日となった。
米共和党のマコネル上院院内総務は1月22日、約1カ月に及ぶ政府機関一部閉鎖の解除に向けた法案2件の採決を1月24日に実施する考えを示した。
上院は1月24日、両案を否決した。
第一は共和党提案で、トランプ大統領が週末に提案した妥協案に基づく。
57億ドルのメキシコ国境の壁建設費用を予算に盛り込むと同時に、幼少期に親と共に不法入国した「ドリーマー」と呼ばれる若者などの在留資格を3年間延長する内容。
2019/1/20 トランプ大統領、政府再開へ新提案
これは、賛成50票、反対47票となり、可決に必要な60票の賛成票を得ることができなかった。
共和党 民主党 民主系
無所属合計 賛成 49 1 50 反対 1 44 2 47 棄権 3 3 合計 53 45 2 100
第二は民主党案で、各政府機関の資金を2月8日まで手当てするつなぎ予算案となっている。トランプ大統領が求める壁建設費は含まれていない。
これも、賛成52票、反対44票となり、可決に必要な賛成票を得られなかった。
事前にペンス副大統領が昼食会で民主党案に反対するよう要請したが、共和党議員6人が賛成した 。
共和党 民主党 民主系
無所属合計 賛成 6 44 2 52 反対 44 44 棄権 3 1 4 合計 53 45 2 100
しかし、ペロシ下院議長は 壁建設費を含むつなぎ予算は「合理的でない」と牽制した。
今回、大統領は壁建設予算なしでのつなぎ予算を認めた。
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