メイ英首相、6月30日までの離脱延期を要請

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メイ英首相は3月20日、トゥスクEU大統領に6月30日までの離脱延期を要請する書簡を送付した。


英下院は3月14日、
議会が3月20日までに英国とEUがまとめた離脱案を承認した場合、6月30日までの一時的延長をEUに申し出る との首相の提案を賛成413、反対202で可決した。

メイ首相は20日までに、3月12日に否決された議案を再度提出する予定であった。

しかし、ぎりぎりの時点で下院議長が同一会期中に、否決されたのと同じ議案、又は実質的に同じ議案を提案できないとしたため、下院の承認なしでの離脱延期要請となった。

2019/3/19 英国のメイ首相の計画に障害、下院議長が離脱案再採決を認めず

政府は当初、「3月20日までに議会承認されなければ、より長い延期を求めることになる」とし、欧州議会選挙を実施することとなるとしていた。

今回、議会承認が得られなかったため、長期延期もできるよう求める方向だったが、「長期の場合は5月のEU議会選挙に参加しなくてはならず、それが国の利益になるとは思わない」と短期延長に絞った。

欧州議会選が5月23日に始まるが、欧州委員会は英国がこれ以降も残留しながら、選挙に参加しなければ法的な問題が生じると懸念を示している。

EUのバルニエ首席交渉官は3月19日の記者会見で、長期延期の場合には、「新たなイベントや新たな政治プロセスと結び付かなければならない」とし、英国の総選挙や離脱の是非を問う2度目の国民投票などが条件になることを示唆した。また、5月23日からの欧州議会選挙への英国の参加が必要だとも主張した。

メイ首相は、「EU離脱決定から3年経った今、欧州議会選挙への投票を国民に求めることは許されない」と強調した。「離脱協定が否決された場合、今後の方針は下院が決める必要がある」とし、長期延期を余儀なくされた場合、辞任も辞さない可能性を示唆した。

書簡を受けトゥスクEU大統領は、3月21~22日の首脳会議で離脱延期の可否を議論はするが、最終決定は来週に持ち越す考えを示した。6月末までの延期については「法的、政治的な問題をもたらす」とし、期間については英国を除く27加盟国の首脳で協議するとした。「短期間の離脱延期は可能」とする一方、英下院が来週、離脱協定案を可決することを条件とする考えを表明した。

しかし、下院の承認を得る目途は立っていない。

長期延期がなくなったため、あとは「合意なき離脱」しかない。
これまで、下院が承認しなければ長期延期となり、最終的に離脱なしの可能性もあるとし、離脱賛成派を説得してきたが、これが効かなくなる。

なお、同一議案の提案については、今回に限りこれを認めるとの議案を承認する案や、下院を一旦閉会して、すぐに再開会する案などが出ている。

「合意なき離脱」の可能性が高まった。

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