英国のEU 離脱に伴う混乱を避けるため、英政府に対してさらなる離脱延期をEUに申し入れるよう義務付けた法案が、4月3日にわずか1日で下院を通過した。
労働党のYvette Cooper 議員が提出したもので、賛成313票、反対312票の1票差で可決された。
上院貴族院では4月4日にこの法案の審議が始まったが、保守党の7時間に及びフィリバスターで、投票には至らず、議長の調整の結果、4月8日に投票することとなった。
2019/4/5 英国の混乱続く
貴族院は4月8日、この法案に若干の修正を加え、可決した。修正後の法案は下院に戻され、再度可決された。
この後、女王の承認 (Her Royal Assent )を得て法律となった。
メイ首相は既に4月5日に、EUのトゥスク大統領に書簡を送り、12日に迫ったEU離脱期限を6月30日に再延期するよう要請し ている。首相は4月9日にBrussels にわたり、10日のEU首脳会議に出席する。
しかし、今回の法案は、4月12日の合意なき離脱を絶対に避けることを目的に、メイ首相がBrusselsに移動する前に議会と協議することを義務付けた。
首相の提案する延期期日(現在のところ6月30日)を変更する機会を議員に与える。
今回の法案の提案者Yvette Cooper議員は、「本日両院は、合意なき離脱が英国の雇用、製造、安全保障をひどく傷つけるという見解を極めて明確にした」と述べた。
英政府は政府は9日の議会審議をへて、翌10日に開催されるEU首脳会議で離脱再延期を求める見込み。
EUのトゥスク首脳会議常任議長は、最長1年間の延期を英国に打診する意向で、協定案が承認され次第、離脱できるという条件もつけるとされる。
なお、労働党との協議は8日も行われたが、まとまっていない。9日も継続する。
8日には「技術的な」話し合いが行われたが、メイ首相は労働党が求めていEUとの関税同盟締結には応じていない。
EUとの将来の関係を示した法的拘束力のない「政治宣言」については、変更を加える方向で協議が進んでいるという。
労働党のジェレミー・コービン党首は、政府はまだ「最後の一線」を越えていないと話した。
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