伊方原発で「ほぼ全電源、一時喪失」のトラブル

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1月25日午後3時45分ごろ、四国電力伊方原発で3号機の定期検査中、「ほぼ全ての電源が一時的に喪失する」トラブルがあった。

電気を供給する送電線の部品の取り換え作業中に、異常な電流が流れた場合に電線を遮断する装置が作動し、停電が起きた。作動した原因は分かっていない。

廃炉作業が行われている1号機と廃炉が決まっている2号機は3秒程度後に別の電源から受電した。
定期検査中の3号機は10秒程度後に
非常用ディーゼル発電機が起動し、その後別の電源に切り替えた。

1号機は廃炉が決定していて燃料が搬出済み。2、3号機の使用済み核燃料プールの水温にも異常はなかった。


3号機は昨年12月26日に定検入りしたが、1月12日には制御棒が誤って約7時間引き抜かれた状態になった。同20日には使用済み核燃料プール内で、燃料の落下を示す信号が発信されるなど、定検中のトラブルが相次いでいる。


付記

四国電力は3月17日、原因と再発防止対策を盛り込んだ報告書を公表した。

原子炉の核分裂反応を抑える制御棒を引き抜いたトラブルは、金属製の軸の内側に鉄の酸化物がたまった影響で十分な動作ができなかった結果、発生した。

保管プールの中で核燃料が点検用のラックの枠に乗り上げたトラブルについて、操作の難しさを作業員全員で共有できていなかったなどとしている。

点検中の停電で電源を失ったことについては、遮断機に付属する装置の一部がショートして壊れたことが直接的な原因であった。

総括的に改善が必要な点として軽微な気づきなどを収集し、反映させることが不十分だったことなど5つをあげ、基本ルールの徹底という原点に立ち返るとしている。

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山口県東部の住民3人が、伊方原発3号機の運転差し止めを求めた仮処分申請の即時抗告審が1月17日、広島高裁であり、裁判長は四国電力に運転差し止めを命じる決定を出した。

2020/1/20 広島高裁、伊方原発3号機運転差し止め 

四国電力は、伊方原発で重大なトラブルが相次いでいることを受けて、広島高裁が出した3号機の運転を認めない仮処分の決定について、異議の申し立てを当面見送る異例の対応を取ることを明らかにした。

異議の申し立てに期限はなく、四国電力は異議を申し立てる方針自体は変わらないとしているが、時期については相次ぐトラブルの原因究明や安全対策を進めていく中で検討していくとしている。

このため、伊方原発3号機は運転できない状態が長期化する可能性が出てきた。

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