OPECプラスは4月12日、4月9日に続いてふたたび緊急テレビ会議を開き、アジアの原油市場が開く直前に日量970万バレルの減産で最終合意した。
協調減産への参加に難色を示していたメキシコに配慮し、メキシコの減産を当初の割当の40万バレルから同国主張の10万バレルに落とした。
OPECプラスは4月9日、5月と6月に日量1000万バレルを協調して減産することを決めた。
7~12月は800万バレル、2021/1~2022/4月は600万バレルにする。1000万バレルのうち、サウジとロシアが250万バレルずつ引き受け、生産量をそれぞれ日量 850万バレルに落とす。他のメンバーは23%カットする。
しかし、この計画は、非OPECのメキシコが削減参加を拒否し、破綻した。
メキシコの2019年の生産は168万バレルで、23%の40万バレルの減産を求められたが、メキシコは拒否し、日量10万バレル減産を提案した。
世界の産油国全体が原油余剰による価格暴落で苦しむなか、メキシコは割当の40万バレル減産に対し、10万バレルの減産を主張、全体で1000万バレルのうちのたった30万バレルの問題で減産合意が3日延びた。
その間、実現はしなかったが、トランプ大統領がメキシコに肩代わり減産を提案することまであった。
2020/4/13 OPECプラス協調減産、日量970万バレルで最終合意
世界中を困惑させた末に、メキシコは主張を通した。
メキシコのわがままとの感がある。
しかし、メキシコにとっては、同国がこれまで多額の資金をかけてやってきた努力をいかすだけで、努力をせずに減産で逃げる他国の方がおかしいということになる。
備えを怠った他の産油国と同様に強いられるのは不当とした。
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メキシコは過去20年にわたり、原油価格下落に備え、アジアン・オプションをかけており、権利行使価格と満期日までの期間の平均価格との差の支払いを受ける。
通常のオプションは満期日の資産のスポット価格の価格との差だが、アジアン・オプションはその期間の資産価格の平均値との差となる。
このため、原油価格が暴落しても、原油輸出損益は変わらず、減産して価格を引き上げる必要はない。
2008-09年のグローバルな財政危機の際に原油価格が暴落した際には51億ドルを受取り、サウジが値下げした2015年には64億ドル、2016年には27億ドルを受け取っている。
逆に減産すれば、その分だけ、高い価格での原油販売収益が失われることとなる。
そのためにはコストもかかり、最近ではアジアン・オプションの購入に年間10億ドルを支払っている。
メキシコの財務大臣は、「保険は高くつく。しかし、保険はこんな時のためにかけている。原油価格が下がっても、国家予算は打撃を受けない」と述べている。
実際の付保については国家機密として明らかにされていないが、11月までの1年で輸出量のほぼ全量について1バレル49ドル(輸出バスケット)で付保しているとされる。
4月6日のメキシコの輸出バスケット価格は18.66ドルまで下がっているが、損害は受けない。
また、メキシコは2004年には日量383万バレルの生産を行ったが、順次減少し、2018年には207万バレルとなっている。ここからの更に40万バレルの減産は非常に苦しい。
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