欧州委員会は8月20日、ドイツのCureVacとの間でCOVID-19ワクチン購入の予備的交渉を終えたと発表した。
これは、Sanofi-GSK、Johnson & Johnson、AstraZenecaとの契約に続く4つ目のもので、合計で最大13.25億回のワクチンを確保した。更に他の企業との交渉を続けるとしている。
EUでは、6月17日にEuropea Vaccines Strategyが採択された。12~18カ月以内に全ての欧州市民のために高品質で安全で有効で安価なワクチンを確保することを狙うもの。
これに基づきメーカー各社と事前購入契約を締結してきた。
欧州委員会はまた、全ての人が安全でない限り、誰も安全でないとして、ワクチンを必要とする世界中の人にワクチンが渡ることを狙う。確保したワクチンの一部は低・中所得国に寄付する。
欧州委員会は5月4日以降、Coronavirus Global Responseのために 160億ユーロを確保した。
相手先 | 数量 | ||
7/31 | Sanofi-GSK | 3億回分 | 全てのEUメンバー国向け |
8/13 | Johnson & Johnson | 当初2億回分、追加で2億回分 | 同上及び低・中所得国への寄付、EEA諸国への転売 |
8/14 | AstraZeneca | 3億回分、オプション 1億回分 | 同上及び低・中所得国への寄付、EEA諸国への転売 |
8/20 | CureVac (予備的交渉) | 2.25億回分 | 同上及び低・中所得国への寄付、欧州諸国への転売 |
合計 | 最大 13.25億回分 |
全てのワクチンが成功の場合、13.25億回は1人2回接種として663百万人分となる。英国離脱後のEU人口は約447百万人。
付記
PfizerはドイツのBioNTech と開発しているワクチンについて11月9日、「90%を超える予防効果がある」とする臨床試験の暫定的な結果を発表した。
EUのヨーロッパ委員会は11月11日、最大3億回分購入する契約を結んだと発表した。EU加盟国を代表してまず2億回分を購入したうえで、必要に応じて最大1億回分を追加で購入する。
EUがワクチン購入の契約を結んだのは、4例目。
日本政府も2021年6月末までに、6000万人分の供給を受けることで基本合意している。
EUが確保したワクチンの状況は次の通り。(WHO 2020/8/20)
Developer/manufacturer | Platform | Type | doses | Timing | Route | Phase | |||
1 | 1/2 | 2 | 3 | ||||||
Sanofi Pasteur/GSK | Protein Subunit | S protein (baculovirus production) | Pre-clinic | ||||||
Janssen Pharmaceutical (J&J) | Non-Replicating Viral Vector | Ad26COVS1 | 2 | 0, 56 days | IM | 〇 | |||
University of Oxford/AstraZeneca | Non-Replicating Viral Vector | ChAdOx1-S | 1 | IM | 〇 | 〇 | 〇 | ||
CureVac | RNA | mRNA | 2 | 0, 28 days | IM | 〇 | 〇 |
(CureVac)
ドイツのバイオ製薬会社 CureVac が開発中の新型コロナウイルスのワクチンを独占するために、米国が巨額の資金支援を約束したとの報道がなされた。ドイツ政府が激怒し、阻止に乗り出したとしている。
EUの欧州委員会は3月16日、欧州でのコロナウイルス蔓延に対応するため、ワクチンの開発・生産の促進のためにCureVacに80百万ユーロを供与すると発表した。
2020/3/19 米国がコロナウイルスワクチン技術独占を画策?
7月6日にはEuropean Investment Bankが同社に75百万ユーロの融資をしている。
(AstraZeneca)
ドイツ、フランス、イタリア、オランダのEU4か国は「ワクチン同盟」を結成した。
AstraZenecaは6月13日、新型コロナウイルスワクチンを、欧州に最大4億回分供給することで「ワクチン同盟」と合意したと発表した。同社は「利益なし」で、年末までに納入を始める 。
2020/6/17 新型コロナウイルスワクチンの確保合戦
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なお、EUを離脱した英国は、3億4千万回分を確保している。 英国の人口は68百万人のため、全部が有効なら、1人当たり5回分となる。ほとんどのワクチンは1人2回接種である。
種類 | メーカー | 百万回分 | 治験Phase |
アデノウイルスワクチン | Oxford University/AstraZeneca | 100 | Ⅲ |
Janssen Pharmaceutical (J&J) | 30 | Ⅰ/Ⅱ | |
mRNAワクチン | BioNTech/Pfizer | 30 | Ⅲ |
不活化ワクチン | Valneva | 60 | Pre-Clinical |
Protein adjuvant | GSK/Sanofi | 60 | Pre-Clinical |
Novavax | 60 | Ⅰ/Ⅱ | |
合計 | 340 |
2020/8/15 英政府、コロナワクチン 3.4億回分確保
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米国は下記の通り確保している。 米国の人口は3.27億人
相手先 | 数量 | 支払額 | |
7/22 | Pfizer / BioNTech | 5,000万人分、1億回分 | 19億5000万ドル |
7/31 | Sanofi / GSK | 5,000万人分、1億回分(+2億回分の可能性) | 21億ドル |
8/5 | Johnson & Johnson | 1億回分 | 10億ドル超 |
8/11 | Moderna | 1億回分(+4億回分の購入権) | 15億2500万ドル 政府拠出累計で24億8000万ドル |
2020/8/1 米、Sanofi / GSKからコロナワクチン5000万人分確保
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日本の状況は下記の通り。
相手先 | ||
ー | 「加速並行プラン」 | |
7/31 | Pfizer | 6千万人分(2021/6までに) |
8/7 | AstraZeneca | 1億2千万回分(1回接種?) |
ー | 複数国で共同購入する国際的な仕組み「COVAX Facility」への参加を検討 |
2020/6/4 厚労省、新型コロナウイルスワクチンの早期実用化で「加速並行プラン」2020/8/1 Pfizer、日本にCOVID-19ワクチン供給
2020/6/27 政府、新型コロナワクチン供給でAstraZenecaと協議 付記
2020/8/5 政府、ワクチン確保へ国際共同購入を検討
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