米国、失業給付の特例に続き、中小企業の雇用維持策も期限切れ

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既報の通り、米連邦政府が新型コロナウイルス対策として発動した失業給付の特例が7月31日に失効し、支給額が一時的に大幅に減額する見通しとなった。

2002/8/3 米の失業給付特例、与野党の不一致で失効

これに続き、中小企業の雇用維持策も8月7日に申請期限が切れることとなった。

3月27日に議会は新型コロナウイルス対策第3弾の2兆ドル規模の景気刺激策の法律(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act=CARES Act)を通した。

この一部が中小企業のレイオフ回避、給与支払い補助のためのPaycheck Protection Program (PPP) 3490億ドルの基金である 。雇用を維持すれば給与の支払いを連邦政府が肩代わりする仕組み。

これは4月4日の受け付け開始から中小企業の利用申請が殺到 し、4月16日に早くも上限に達した。

トランプ米政権と与野党の議会指導部は4月21日、4840億ドルの新型コロナウイルス対策で最終合意、上院は関連法案を同日、下院も23日に可決した。第3弾の対策の補充で、COVID-19 3.5 relief packageと呼んでいる。

これに、中小企業庁の Paycheck Protection Program (PPP) の補充 3200億ドルが追加された。このうち、600億ドルは中小企業向けの融資機関に支給され、銀行融資を受けられない企業に資金が行くようにする。

2020/4/24 米国で4800億ドルの3.5次対策で合意、更に第4次対策を検討 

このPaycheck Protection Program は6月30日に終了することとなっていた。

上院は6月30日に、これを議会が夏休みに入る8月7日まで延長する法律を議決、下院も議決して、7月4日に大統領がサインし、法律となった。

民主、共和両党は新型コロナウイルス対策第4弾でこれを延長する予定であったが、合意に達せず、8月7日に期限切れとなるに至った。

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米下院は5月15日、民主党が主導する3兆ドルの新型コロナウイルス対策案(The Heroes Act)を可決した。

7月末で期限が切れる失業給付の特例は週600ドルの上乗せをそのまま延長する。

Paycheck Protection Programは部分修正して12月31日間で延長

米共和党の議会指導部は下院可決後の2か月半後の7月27日、ようやく1兆ドル規模の追加の新型コロナウイルス対策法案 を正式に提示した。

7月末で期限が切れる失業給付の特例は10月初めまで加算分を200ドルに減らし、その後は州の支給分と合わせて失業前の給与の70%を上限とする。

Paycheck Protection Programは部分延長する。これまでは従業員500人以下の企業は全て対象だったが、売上高が5割以上減った企業に対象を絞る。

Paycheck Protection Programは、雇用を維持すれば給与の支払いを連邦政府が肩代わりする仕組みで「6000万人の雇用を下支えしてきた」。

民主党、共和党ともに
Paycheck Protection Programの延長では一致しているが、第4弾の予算総額は民主党が3兆ドル、共和党が1兆ドルで、大きな差がある。与野党は11月の大統領選・連邦議会選が近づいて、簡単に妥協できなくなっている。

ムニューシン財務長官と民主党のペロシ下院議長らは8月5日、超党派の早期合意に向けて協議したが、合意に至らず、週内の関連法の成立を断念した。
議会は8日から休会する予定だったが、各議員は夏季休暇を当面返上して合意案づくりを続ける。

トランプ大統領は5日の記者会見で、7日までに超党派の合意案がまとまらなければ、大統領令で失業者支援などの経済対策をホワイトハウス発で発動する考えを表明した。

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