米下院は10月1日、民主党が単独で提案した2兆2000億ドル(約230兆円)規模のコロナ対策予算案を可決した。
Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act (CARES Act) と呼ばれる。
5月に可決された案では3兆ドル(コスト予想に幅があり、高い見積もりでは3.4兆ドルになる)であるが、これを2.2兆ドルに引き下げるというものである。
これには、失業給付への連邦政府の週600ドル上乗せることや、大人1人あたり最大1200ドル(扶養家族には500ドル)の現金給付を含んでいる。
8月7日に申請期限が切れた中小企業の雇用維持策も延長する。コロナの影響をうけたレストラン、エアライン、児童センター、コンサート会場などへの現金支給や、郵便局への支援(郵便投票のため選挙前に必要)を含んでいる。
財政難の州・地方政府に4千億ドル強を支援する。
民主党案と共和党案には大きな差があり、この案も(5月15日可決の案と同様)、上院で通る可能性は少ない。
民主党と政権の協議は前日から続いており、ペロシ下院議長は、同案が可決された場合でも政権との交渉を打ち切ることにはならないと述べていた。
2020/10/2 COVID-19経済対策 第4弾 下院が修正案を可決、但し選挙前の成立は困難
まとまる可能性は少ないが、双方は11月3日の大統領選前の決着を目指して追加話し合いを続けようとしていた。
しかし、トランプ大統領は退院の翌10月6日、COVID-19経済対策 第4弾の民主党の2兆ドル規模の対策案を「拒絶する」とし、「11月の大統領選後まで、代表団に協議の打ち切りを指示した」と表明した。
11月の選挙に勝利すれば、独自の1兆ドル規模の経済対策を成立させるとしている。
付記
トランプ大統領は10月8日、野党との協議を再開したと述べた。景気や株価への悪影響を警戒したと見られる。
航空業界支援や家計への現金給付を中心に話し合っているとするが、民主党のペロシ下院議長は、これらは包括的な対策法案に含めるべきだと牽制している。
一方で同日、追加経済対策の協議から切り離し、航空業界と中小企業保護に関してのみ、支出を即時認めるよう求めた。航空業界の給与助成の予算250億ドルと、中小企業を対象とする「給与保証プログラム(PPP)」の予算1350億ドルである。
更に、下院が決議した案に含まれている大人1人あたり最大1200ドル(扶養家族には500ドル)の現金給付について、単独法案でこれを通すように 促した。直ぐサインすると。
The House & Senate should IMMEDIATELY Approve 25 Billion Dollars for Airline Payroll Support, & 135 Billion Dollars for Paycheck Protection Program for Small Business. Both of these will be fully paid for with unused funds from the Cares Act. Have this money. I will sign now!
If I am sent a Stand Alone Bill for Stimulus Checks ($1,200), they will go out to our great people IMMEDIATELY.
I am ready to sign right now. Are you listening Nancy?
これらはいずれも可決された下院案に含まれている。
航空業界支援は3月に250億ドルの支援が決まったが、9月30日に期限切れとなった。American Airlines、United Airlines は32千人のレイオフを決めたが、給与助成が決まれば、支援が復活すれば方針を変更するしている。 支援復活については与野党で賛成が多いが、この単独法案が先週の下院運輸委員会で一部の共和党員の反対で通らなかった。
大統領は、民主党が下院で通した2.2兆ドルの予算案には反対、11月の選挙後に1兆ドル規模の経済対策を成立させるとして与野党協議を止めさせる一方、民主党が賛成しており、大統領の指示で通したとして選挙対策にもなる3つの項目(国民、中小企業、エアライン支援)を単独法として通させようとするものである。「いいとこ取り」作戦である。
更に、大統領は大統領令による支援策を準備していると表明した。議会で合意できなければ、政府として失業者などの支援策を一方的に実施すると主張した。
この提案には次の問題がある。
早急に対応が必要なものは、この3つだけではない。失業保険補充や、州・地方政府支援などいろいろある。
下院は既にこれらを含めた案を通している。上院でも通して、法律にすればよい。
共和党は上院で対案を出してもいない。(一度出したが、審議に移ることが出来なかった。)
共和党案には、失業保険補充の大幅減や、州・地方政府支援拒否、企業などのコロナ訴訟の免責条項など、選挙に不利になる可能性のあるものが多い。大統領は協議の打ち切りを指示した。
そのうえで、都合のよいものだけを「いいとこ取り」しようとしている。
上院も下院も事実上の休会に入っており、大統領案が実施される可能性は小さい。
大統領の最後のツイッターへのコメントのツイッター:大統領はコロナの薬で頭がおかしくなったのでは。
You're rambling, panicking, and losing your mind.
You were already the dumbest president in history, but now Covid has broken your brain while the drugs turn it to mush.
Give up, you sick, weak old man, because America is watching you unravel and it's not pretty.
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