米国のコロナ対策予算問題、依然として難航

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トランプ大統領は退院の翌10月6日、COVID-19経済対策 第4弾の民主党の2.2兆ドルの対策案を「拒絶する」とし、「11月の大統領選後まで、代表団に協議の打ち切りを指示した」と表明した。11月の選挙に勝利すれば、独自の1兆ドル規模の経済対策を成立させるとしている。

その8時間後に航空業界の給与助成(250億ドル)、中小企業を対象とする「給与保証プログラム(PPP)」(1350億ドル )、大人1人あたり最大1200ドル(扶養家族には500ドル)の現金給付を単独法で通すことを求めた。

2020/10/9 トランプ大統領、コロナ対策予算問題でいいとこ取り」作戦

しかし、トランプ大統領は10月8日、野党との協議を再開したと述べた。追加策の実施が遅れることで景気や株価への悪影響を警戒したと見られる。 協議を停止したのは巨額の対策を求める民主党との議論が「停滞していたためだ」と釈明し、「今はうまく進み始めている」と説明した。ただ対策規模などを巡る隔たりは大きい。

詳細は不明だが、Mnuchin 長官は約1.6兆ドルを提案したが、Pelosi議長は2兆ドル以下では 受け入れられないとした。

大統領は米テレビに対し、航空会社の雇用維持支援策で協議を始めたと指摘、「より大きな合意へ交渉している」とも語り、1人当たり1200ドルの現金給付にも言及した。
これに対し、ペロシ議長は「包括的な追加策がなければ(航空会社向けの)単独支援はない」と明言。民主党が重視する州・地方政府に対する財政支援が含まれない部分的な追加策を支持しない考えを強調した。

その後、大統領は約1.8兆ドルの案を承認した。

航空会社や中小企業の雇用維持支援延長、世帯に対する現金給付の第2弾などが盛り込まれた。

しかしなお、民主党案とは差がある。 特に、財政難に苦しむ州・地方政府への支援が問題で、対象となる州・地方政府は民主党の地盤が多く、共和党側は反対している。

大統領選挙前の決着は難しいと見られている。


一方で、大統領は10月9日午後のラジオのインタビューで、現在双方が主張しているよりも多い景気刺激策が望ましいと言い出した。

"I would like to see a bigger stimulus package, frankly, than either the Democrats or the Republicans are offering. I'm going the exact opposite now."

"I'd like to see a bigger package, I'd like to see money going to people."

選挙のためには、なりふり構わずという感がある。

しかし、これは大問題で、共和党では上院、下院共に1兆ドル以上の案に懸念を表しており、多くは追加支援そのものに反対している。

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経緯:

新型コロナ対策予算

第一次:3月6日 「コロナウイルス対策補正予算法」83億ドル 米与野党、2兆ドルを超える緊急景気浮揚予算案で合意
第二次:3月18日 「家族第一・コロナウイルス対応法」35億ドル
第三次:3月27日 CARES Act 2.2兆ドル
3.5 次: 4月23日 COVID-19 3.5 relief package 4840億ドル 米国で4800億ドルの3.5次対策で合意、更に第4次対策を検討 


トランプ大統領は4月21日の記者会見で、この後すぐに『経済対策第4弾』の議論に入るつもりだと表明した。「地方でのインフラ投資や給与税の減税など、次策の議論を開始する」と述べた。

COVID-19経済対策第4弾は、民主党が主導する米下院が5月15日に3兆ドルの新型コロナウイルス対策案(The Heroes Act)を可決した。

しかし、米共和党の上院議会指導部は下院可決後の2か月半後の7月27日、ようやく1兆ドル規模の追加の新型コロナウイルス対策法案を正式に提示した が、差が大きく、決まらないまま夏季休会に入った。

その間、米連邦政府が新型コロナウイルス対策として発動した失業給付の特例が7月31日に失効し、支給額が一時的に大幅に減額する見通しとなった。

これに続き、中小企業の雇用維持策も8月7日に申請期限が切れることとなった。

トランプ大統領は8月8日、新型コロナウイルス感染拡大を受けた追加経済対策として、失業給付を増額する措置の延長を含む4つの大統領令に署名した。

米の失業給付特例、与野党の不一致で失効
米国、失業給付の特例に続き、中小企業の雇用維持策も期限切れ
トランプ大統領、失業給付増額等へ大統領令

議会再開後、米上院共和党のマコネル院内総務は9月8日、従来案(1兆ドル)から規模を縮小した5000億ドル規模の対策法案を提出したが、9月10日の採決で審議入りに必要な60票に届かなかった。

2020/9/14 米議会再開、COVID-19経済対策と2021会計年度の連邦政府予算が争点に 

9月30日になって、民主党Nancy Pelosi とSteven Mnuchin 財務長官(White House と共和党を代表)が8月初め以来初めて、協議を行った。民主党は5月15日下院可決のThe Heroes Actの3兆ドル2.2兆ドルに引き下げ たが、Mnuchin 財務長官は約1.5兆ドルの対案を出し、合意に至らなかった。

米下院は10月1日、民主党が単独で提案した2兆2000億ドル規模のコロナ対策予算案を可決した。

民主党は議案の議決を9月30日から10月1日に延期したが、合意に達しなかった。

トランプ大統領は退院の翌10月6日、COVID-19経済対策 第4弾の民主党の2.2兆ドルの対策案を「拒絶する」とし、「11月の大統領選後まで、代表団に協議の打ち切りを指示した」と表明した。11月の選挙に勝利すれば、独自の1兆ドル規模の経済対策を成立させるとしている。

その8時間後に航空業界の給与助成 (250億ドル)、中小企業を対象とする「給与保証プログラム(PPP)」(1350億ドル )、大人1人あたり最大1200ドル(扶養家族には500ドル)の現金給付 を単独法で通すことを求めた。

2020/10/9 トランプ大統領、コロナ対策予算問題でいいとこ取り」作戦 



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