武田薬品グループのCOVID-19用 抗体治療薬

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武田薬品工業は世界の9社と共同でCoVIg-19 Plasma Allianceをつくり、COVID-19の治療を目的とした高度免疫グロブリン製剤(CoVIg-19)を開発している。現在、臨床第3相試験に入っており、早ければ年内にも治験結果がまとまる。成功すれば各社がノーブランドで販売する。

免疫グロブリンは「天然の予防抗体」といわれ、新型コロナから回復した患者の血液中の抗体の集まり で、人工的に設計された ものに対し、効果が高いとされ、量産もしやすい。

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武田薬品の参加するCoVIg-19 Plasma Allianceは10月9日、共同で開発が進められるCOVID-19の治療を目的とした高度免疫グロブリン製剤(CoVIg-19) について、米国国立衛生研究所(NIH)の米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が実施する臨床第3相試験「Inpatient Treatment with Anti-Coronavirus Immunoglobulin(ITAC)」の患者が登録されたことを確認した と発表した。

武田薬品は、世界をリードする他の血漿分画製剤企業9社と共同でCoVig-19 Plasma Alliance を共同設立し、新型コロナウイルスとの世界的な闘いに向けた高度免疫グロブリン製剤の開発および製造を進めている。

2020年4月6日に CSL Behringと武田薬品がCOVID-19の治療薬となり得る血漿分画製剤の開発に関する提携契約を締結し、本提携にBiotest、BPL、LFB、Octapharmaの各社が参画した。
5月8日に4社が追加参加した。

血漿分画製剤領域で世界をリードする企業が協力し、COVID-19に対する世界的な戦いにおいて高度免疫グロブリン製剤の開発および製品化を行なう もので、
ノーブランドの抗SARS-CoV-2ポリクローナル高度免疫グロブリン製剤の臨床開発に直ちに着手した。  

このアライアンスは、米Mayo Clinicが提唱した感染回復患者から血漿を採取し治療薬を開発するイニシアチブ「The Fight Is In Us」にも参加している。

CoVIg-19 Plasma Allianceメンバー

当初
メンバー
2020/4/6
武田薬品 免疫グロブリン製剤を含む血漿分画製剤は、買収したシャイアーが強みとして抱えていた分野。
Biotest 血漿タンパクと生物学的製剤を提供する企業であり、ドイツのDreieichに本社を置く。前臨床および臨床開発から世界中での販売にまでおよぶバリューチェーンを有し、主に臨床免疫領域、血液領域および集中治療領域に特化してい る。
ヒト血漿由来の免疫グロブリン、凝固因子、アルブミンを開発、販売している。
BPL(Bio Products Laboratory) 60年以上の歴史を有するBPLは世界中の医師、患者、顧客のニーズを満たす高品質の血漿分画製剤を提供してい る。 英国に本社を置き、全米に血液収集センターを有し、免疫不全、出血性疾患、感染症の治療や救急医療用の医薬品の製造に取り組んでいる。
CSL Behring 豪の CSLの米国子会社
生物学的製剤のグローバル企業で、血液凝固疾患、原発性免疫不全症候群、遺伝性血管性浮腫、遺伝性呼吸器疾患、神経系疾患などの治療に用いられる製剤を開発、提供している。
また、心臓手術、臓器移植、やけど、新生児の溶血性疾患の予防などに使用される製剤も扱っている。
世界でも最大規模の血漿採取ネットワーク(CSL Plasma)を運営している。
LFB 重篤な希少疾患の患者の治療に用いる血漿分画製剤および遺伝子組換えタンパクを開発、製造、販売するバイオ医薬品グループ。
欧州におけるバイオ医薬品企業のリーディングカンパニーの1つで、主に病院の医療関係者に、免疫、止血、集中治療の3つの主要分野における血液由来の治療薬を届ける。
1994年にフランスで設立され、現在30カ国以上で15の製品を販売している。
Octapharma スイスに本社を置き、ヒト血漿およびヒト細胞株からヒトタンパクを開発および製造する世界最大のヒトタンパクメーカーの1つ。
血液がん領域、免疫治療領域、救命救急領域の3つの領域にわたり、118か国で販売している。
追加
メンバー
2020/5/8
ADMA Biologics 感染リスクのある免疫不全患者および特定の感染症のリスクがある患者の治療に用いる専門的な血漿由来生物学的製剤の製造、販売および開発に特化した米国のバイオ医薬品企業。
免疫不全の治療および特定の感染症予防に用いる血漿由来生物学的製剤3種類を製造・販売している。
フロリダ州の血漿分画精製施設で免疫グロブリン製品を製造している。
BioPharma Plasma 血漿分画製剤の開発・生産に注力するウクライナのバイオ医薬品企業。
ウクライナおよびその近隣諸国において、製造の最新技術を持つ唯一の工場を有している。
アルブミン、免疫グロブリン、凝固因子をウクライナおよび世界30カ国以上に供給している。ウクライナ
GC Pharma 旧社名Green Cross Corporation。タンパク質治療薬やワクチンを製造販売する韓国のバイオ医薬品企業。
世界有数の血漿タンパク製剤メーカーの一つであり、半世紀以上にわたり高品質な医療ソリューションの提供に専念。
Sanquin オランダで血液採取と血漿採取の両方を担い、Sanquin Blood Bankとその製薬法人であるSanquin Plasma Productsで構成され る。研究目的と抗COVID-19免疫グロブリン製造の両方に活用すべく、回復された患者からの血漿を収集してきた。
支援 Bill&Melinda Gates Foundation 助言支援
Microsoft テクノロジー面でのサポート(ウェブサイト、Plasmabot:ドナー募集のためのツール)


臨床第3相 ITAC試験では、COVID-19により重篤化リスクのある患者を治療できる可能性のある抗コロナウイルス高度免疫グロブリン静注製剤(H-Ig) の安全性、忍容性、有効性を評価 する。

これは国際多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験で、米国やメキシコ、その他16カ国の5大陸にわたる最大58施設において実施され る。

治験に使われる高度免疫グロブリン静注製剤は、CoVIg-19アライアンス のCSL Behring と武田薬品が提供するほか、他の2社からも提供される予定。

発症後12日以内で、生命を脅かすような臓器障害や終末臓器不全のない成人のCOVID-19入院患者500人が登録される。
標準治療としてレムデシビルが投与され、さらに高度免疫グロブリン静注製剤が投与された時の安全性と有効性が評価され る。

CoVIg-19アライアンスでは、COVID-19から回復した患者に血漿提供を呼びかけている。(日本ではやっていない)

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武田薬品はビジネス面、研究面の双方で「血漿分割製剤」をフォーカス対象にし、重視している。

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