米上院、1.9兆ドル経済対策法案を可決

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米議会上院は3月6日、新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた家計や企業を支援する1兆9千億ドル規模の追加経済対策法案を一部修正し、可決した。

上院民主党内部でも穏健派の議員が高い失業保険や最低賃金引き上げは経済を過熱化させるとの懸念を持ち、内部調整に時間がかかった。

失業保険の上乗せで、一時は破談になりかけたが、最後に妥協した。

既報の通り、① 予算決議案→財政調整法という特別な手法をとることにより、共和党のフィリバスターを避けた。

2021/3/1 米下院、1兆9千億ドルのCOVID-19対策法案可決 

共和党は「新型コロナと関係のない項目が盛り込まれている」と反発し、バイデン大統領が掲げる「融和」路線は政権発足直後から行き詰まった。

共和党は "vote-a-rama"という手法で対応した。修正案を次々に出すもので、通す意図も、通る可能性もないものを次々に出した。3月5日の深夜に始め、6日の正午頃まで3ダース程度の提案を行った。ほとんどの議員が居眠りをし、なかには議場でストレッチをする議員もあった。
(財政調整法では審議時間が制限されているため、フィリバスターの代わりにはならない。議員による支持者へのPRが主な目的といわれている。)

最終的に、賛成50、反対49で、民主党(及び民主系無所属)だけの賛成で可決した。(棄権1 は義父の葬儀のため欠席)
仮に50対50になっても、副大統領(上院議長を兼ねる)の1票で可決していた。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 48 2 50
反対 49 49
棄権 1 1

合計

50 48 2 100


現在の追加経済対策法での
失業保険の上乗せを3月14日までとなっており、民主党はその期限までに延長を決めたい。

このため下院で3月9日に上院での修正法案を再可決し、バイデン大統領が署名して成立させる見通し。

バイデン政権下で初めての巨額財政出動となる。IMFは米国のGDPを今後3年で累計5%程度、押し上げると分析している。
景気回復へ追い風となる一方、感染拡大が本格化した2020年3月以降の経済対策は総額6兆ドル規模に達する ため、インフレを懸念する声も上がっている。


主な内容:

$1,400 checks per adult & kid

ほとんどの人に1400ドルの一時金が支給される。ただし、下院では、年収10万ドル以上は対象外としたが、上院では更に引き下げ、8万ドル以上とした。

Unemployment @ $300 thru Sept. 6

失業保険の州支給分への上乗せ(3月14日に期限切れ)は、現行は週300ドルの上乗せとなっているが、下院は400ドル上乗せとした。
しかし、これに対する反対が強く、最終的に現行通りの300ドル上乗せに修正した。9月6日まで延長される。

$350 billion for cities, states, tribes

コロナ対策に苦しむ州や地方政府に3500億ドルが支援される。

6-17歳の子供への$3,000/yr、 0-6歳のこどもへの$3,600/yr の手当

$170B for schools 学校の対面再開に向けた対策費

$100B 公衆衛生

既報の通り、下院が通した法案には最低賃金を15ドルに引き上げることが含まれているが、「予算決議」の下では「最低賃金引上げ」は対象外であると判断された。
このため、上院ではこれは削除された。

今後、個別議案として審議される。

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