Johnson & Johnson (J&J)の委託先のEmergent BiosolutionsのBaltimore州 Bayviewの工場は、AstraZenecaのワクチンの受託もしているが、数週間前に両社のワクチン成分を混合してしまい、J&Jのワクチン1500万回分が不良品と なり、米国での今後の出荷が遅延することが判明した。
2021/4/2 Johnson & Johnson、ワクチン製造でトラブル
J&Jの発表後すぐに、Biden政権はこれに介入した。NY Times によると米保健福祉省はJ&Jに対し、新しいリーダーシップチームを派遣し、Bayview工場でのワクチン製造の全ての面で引き継ぐよう指示した。
同工場ではこれまで、J&JのワクチンとAstraZenecaのワクチンを製造していたが、保健福祉省によれば、今後はJ&Jのワクチンのみを製造する。保健福祉省はAstraZenecaと協力し、AstraZenecaのワクチン生産を別の場所に移すことで合意した。
専門家によれば、以前はFDAはこのような事故を避けるために1工場で2つの生ウイルスベクターワクチン を生産するのを認めていなかったという。いつ、なぜ、この方針がなくなったのか不明。
J&Jは Bayview工場での生産に全責任を持つ述べた。ワクチン製造で提携したMerckからも人員が派遣される。
Biden大統領は3月2日、新型コロナウイルスワクチンについて、5月末までに米国の全ての成人の接種分を確保できる見通しだと述べた。
大統領は、米MerckがJohnson & Johnsonの新型コロナウイルスワクチンを生産すると発表した。J&Jの「1回接種ワクチン」の生産を加速する目的で政府がアレンジした。
Merckは米国の2つの製造設備をJ&Jのワクチン生産に充てる。1つの設備でワクチンそのものを生産し、もう一つの設備で小瓶(vial)に充填する。
同工場はFDAの承認を受けていないため、工場で正常に生産されたワクチンもまだ出荷されていない。これまで米国で使用されたのは全てJ&Jのオランダ工場の生産品である。
J&Jによると、EmergentはJ&Jがワクチン生産で提携する8社のうちの1社に過ぎず、現時点でも5月末までに米政府に1億回分のワクチンを引き渡せられると見ている。
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Emergent Biosolutionsは米政府のバイオテロ防衛のコントラクターで、炭疽菌ワクチン(BioThrax)の唯一のメーカーである。政治力があり、安売り作戦で他社を圧し、ワクチンに関して政府の購入方針に影響を与えている。
2020年に同社はJ&JとAstraZenecaのワクチン生産で740百万ドルの契約を結んだ。さらにトランプ政権のOperation Warp Speedの部分としてBayview工場の生産余力を保持することで政府と628百万ドルの契約を結んだ。(この契約を結んだ保健福祉省の部門の長はKadlec次官で、同氏は就任前はEmergentのコンサルタントであった。)
Washington Postによると、政府とのこの契約の直後に、FDAの係官が工場にいくつかの問題があるとの報告を行っている。従業員の一部は適正な訓練を受けておらず、記録が適正に保存されておらず、試験手続きは守られていない。コンタミを防ぐ手段は十分ではない、としているという。
J&JやAstraZenecaは委託契約を結ぶ際に、これらの情報を全く知らなかったのだろうか。
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