建設アスベスト給付金法が成立 

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建材用のアスベストで元建設労働者らが健康被害を受けた問題で、国家賠償請求訴訟を起こしていない被害者らを補償する「給付金制度」に関する新法が、6月9日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。


自民・公明両党は2021年2月、最高裁で東京、京都、大阪のアスベスト集団訴訟での国の賠償責任が確定したことを受けて、被害者の救済策を検討する合同の対策チームの初会合を開き、関係者へのヒアリングを行うなどしたうえで具体策を取りまとめる方針を確認した。

最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は5月17日、元建設作業員と遺族が、国と建材メーカーに損害賠償を求めた4件の訴訟の上告審判決で、規制を怠った国の対応は違法と認め、「違法状態が続いた1975~2004年の被害に賠償責任が生じる」との初判断を示した。被害原因となった建材を製造した可能性が高い複数のメーカーの連帯責任も認めた。


これを受け、国と原告団、弁護団が、和解内容を盛り込んだ基本合意書に調印。国が最大1300万円の和解金などを支払うことで合意した。裁判外の被害者を救済する給付金制度の創設についても、基本合意書に盛り込まれていた。

2021/5/19 最高裁、建設アスベスト訴訟で 国と企業の責任認める

これを踏まえ、訴訟に加わっていない被害者や遺族にも、給付金を支給するための法律が、可決・成立したもの。


建設石綿給付金法のポイント:

▽支給対象者は、石綿の吹き付け作業(1972年10月~1975年9月)や、一定の屋内作業(1975年10月~2004年9月)に従事した労働者や一人親方ら

▽石綿によって生じた健康被害の症状に応じて、1人550万~1300万円を支給

▽被害者側の請求に基づき、厚生労働省に設置された審査会が審査を行い、厚労相が認定、支給する

▽独立行政法人・労働者健康安全機構に支払いのための基金を設置


厚労省は支給対象者数を2054年までの約30年間で計3万1000人と推計、支給総額は最大4000億円を見込んでいる。

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