トヨタ、 米紙にバイデン政権のEV減税案を批判する意見広告

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電気自動車(EV)購入の際の税額控除額について、1台当たり現在の7,500ドルから、最大12,500ドルまで引き上げる案を盛り込んだ。実質的に値引きになる。

1台当たりの基本控除額4,000ドルと、バッテリー容量に応じた控除額3,500ドル(注)に加え、労働組合を持つ拠点で組み立てられた車両の購入に対しては4,500ドルの控除が定められている。

2026年12月31日以前に販売される車両の場合は、バッテリー容量40キロワット時(kWh)以上、
2027年1月1日以降に販売される車両は50kWh以上が対象。

さらに、組み立て工程での構成部品の50%以上が国内生産品で、動力として搭載されるバッテリーセルの組み立てが国内で行われている場合には、500ドルが上乗せされる。

対象は、車両総重量が14,000ポンド(約6.35トン)未満の新車で、2022、2023年販売車は7kWh以上、2024年以降は10kWh以上のバッテリーを搭載し、外部充電が可能な車両となっている。
しかし、その条件として、労働組合を持つ拠点で組み立てられたEVであることなどを設けている。

今回の法案では、控除申告が可能な収入の上限が、配偶者との合算申告の場合は80万ドル、世帯主のみでは60万ドル、その他の場合(扶養家族など)は40万ドルと定められている。

さらに、車両価格にも上限が定められており、乗用車(セダン)は5万5,000ドル、バンは6万4,000ドル、スポーツ用多目的車は6万9,000ドル、ピックアップトラックは7万4,000ドルとなっている。

また、現行規定にあるメーカー販売台数20万台の控除対象上限が撤廃される。(GMとテスラは上限に達しているが、適用が再開される。)

この4,500ドルの追加控除(実質値下げ)が労働組合を持つ拠点で組み立てられた車両の購入に対してのみ認められることから、労働組合を持たない日系メーカーを中心に波紋が広がっている。

米自動車業界は「ビッグスリー」と呼ばれるGM、Ford、Stellantis Fiat Chrysler とPeugeotのJV)にだけ労組が結成されており、トヨタ、ホンダ、現代・起亜、フォルクスワーゲンなど大多数の外資系自動車工場には労組がない。Tesla にも労組がない。

事実上、「ビッグスリー」製EVの購入を奨励する「バイ・アメリカン」政策だとする批判が出ている。 日系メーカーを含む自動車メーカー12社が不服を示す書簡を提出した。

非組合メーカーの拠点があるアラバマ、ジョージア、インディアナ、ミシシッピ、サウスカロライナ、テネシー州など11州の知事(いずれも共和党)が反対を示す内容の書簡を議会に提出した。

日本を含む25カ国・地域の駐米大使は本件に関し、多くの米国人労働者を雇用する外資系自動車メーカーを不当に妨害しているとし、反対の意を示す書簡を米議会およびバイデン政権に提出した。


トヨタの意見広告は、バイデン政権と民主党が推進する労組優先主義に異を唱え るものである。

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