米インフラ法案、下院で可決、成立へ

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米下院は5日夜、バイデン政権の2つの看板政策のうち、5500億ドル規模の超党派インフラ投資法案を可決した。

これは1兆ドル予算とも呼ばれる。既に予算配分済みの支出を除いた新規支出は約5,500億ドルである。

上院はすでに可決しており、バイデン大統領が署名すれば成立する。

2021/8/11 米上院、5500億ドル規模のインフラ包括法案を可決、下院採決時期は不透明

子育て支援などに10年で1.75兆ドルを投じる歳出・歳入法案は党内調整になお時間がかかるため採決を先送りした。

付記 バイデン大統領は11月15日、インフラ投資法案に署名、成立した。

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バイデン大統領は3月31日、国内のインフラの整備等に8年間で2兆2500億ドルを投入する新たな計画 American Jobs Plan を発表したが、これは、1兆ドルのインフラ包括法案と3兆5000億ドルの予算とに分かれた。

前者は上院で可決済みで、下院の決議待ちであった。
後者は、上院でのフィルバスターを避けるため、予算決議案→財政調整措置の形をとるが、予算決議案は上下両院で可決済みで、これをもとにした具体的予算案を討議中である。

肝心の民主党内で、党内の急進左派が子育て支援などの「3.5兆ドル法案」を可決するまでインフラ法案に賛成しないと主張し、逆に、財政膨張を懸念する中道派議員は3.5兆ドル法案の規模圧縮を要求し、与党内の調整がつかない状況である。

バイデン大統領は10月28日、1.75兆ドルのBuild Back Better Act を発表した。与党民主党内で意見が対立し、進展していない 「10年で3.5兆ドルの予算案」を修正し、早期の法案成立を目指すもの。

2021/11/1 バイデン大統領、10年間3.5兆ドルの予算案を修正  

ペロシ議長は2つの看板政策を同時に実現させる方針を示してきたが、難航した。

従来は共和党と民主党の争いで難航してきた。しかし、今回は共和党は静観しており、民主党内部の争いである。

民主党は11月2日投開票のバージニア州知事選で敗北、大統領の支持率が40%台前半まで落ち込み、威信が低下している。

大統領反転攻勢の切り札にしたい思惑から、11月5日の演説で、インフラ投資法案と総額1兆7500億ドルの大型歳出法案を5日中に成立させるよう呼びかけた。主要な下院議員には電話で直接協力を求めた。

しかし、6人の中道派議員が、1.75兆ドルの予算法案について「議会予算局による財源の精査が終わっていない」として早期の法案採決に反対した。下院で民主党から4人が反対すれば可決できないため、ペロシ議長は「説得は困難だ」と判断した。

次善の策として、議長はインフラ投資法案を先に成立させる方針に転じたが、今度は左派が、インフラ法案を通してしまうと、大型歳出法案がそのままでは通らない可能性があるとして議決に反対した。


最終的に中道派議員が「議会予算局の精査の結果が政府の推計と矛盾しなければ、大型歳出法案に賛成する」と文書で約束したことで、左派が態度を軟化させた。

それでも下院の議決でインフラ法案に民主党から 急進左派6名が反対した。

しかし、共和党から13名が賛成に回 り、ようやく可決された。大統領は与党民主党の反対で否決されるところを、野党共和党に救われた形となった。

  共和党 民主党 合計 欠員
賛成 13 215 228
反対 198 6 204
棄権 2 2
合計 213 221 434 1

欠員3議席のうちオハイオ州の11月2日の選挙で、2議席を民主、共和が分け合った。
欠員の残り、フロリダ州の議席は2022/1/11に決まる。

1.75兆ドル規模の大型歳出法案は議会通過のめどが立たない状況で、11月5日の下院採決が見送られた。

民主党下院指導部は11月半ばごろの可決を目指す。

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