LG Chemは11月22日、テネシー州と正極材工場建設業務協約(MOU)締結式を行ったと明らかにした。
LG Chem は11月15日、正極剤工場を米国に建設することを検討していると発表した。
ソウル経済新聞が同日、LGが米国のインフレ対策法案への対応として、テネシー州Clarksvilleで32億ドルを投じて建設すると報じたのに対し、発表したものだが、詳細は決まっていないとしていた。
LG Chemは30億ドル以上を単独投資し、テネシー州Clarksvilleの170万平方メートルの敷地に来年1~3月期中に着工する。
同じテネシー州のSpring HillにはGMとLG Energy SolutionのJV Ultium Cells LLCのバッテリー第二工場もある。
2021/3/18 LG Chem、米国で車載電池増産
2025年から正極材の量産を始め、その後生産ラインを段階的に拡大して2027年には年産12万トン規模に増やす。走行距離500km以上の高性能電気自動車約120万台分のバッテリーを作れる水準で、米国で最大規模の正極材生産施設となる。
次世代電気自動車バッテリー用ハイニッケルNCMA(ニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム)正極材を生産する。NCMA正極材はエネルギー密度を決めるニッケル含有量を高めて安定性が高いアルミニウムを使い出力と安定性を備えたのが特徴。
生産ラインもまた熱を加える焼成工程設計技術を高度化し、ライン当たり生産量を年間1万トン以上に引き上げる。
また、スマートファクトリー技術を活用しすべての工程の自動化と品質分析・管理システムを構築する。工場は太陽光や水力など100%再生可能エネルギーで稼動する。
同社はこれを通じて米インフレ抑制法と世界の電池素材市場に積極的に対応する方針である。
8月に米国で成立したインフレ対策法案(Inflation Reduction Act of 2022)では、低・中所得者がエコカーなどの新車を購入する際に1台当たり最大7500ドルの税控除を受けられる。
ただ、EV減税の対象となる新車について、北米地域での最終組み立てを義務付けた。
さらにEV用電池の原材料である重要鉱物の調達先を、米国か、米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる国に事実上制限する。上記のLG Energy Solutionの米国Compass Minerals からの炭酸リチウム調達はこれに対応するもので、今回のLG Chemの計画もこれが米国立地の理由の一つである。
今回の計画を基に LG Chemは正極材を含む電池素材事業の売り上げを今年の約5兆ウォンから2027年には約20兆ウォンと4倍に成長させる。
LG Chemは本年7月、次の3分野に2025年までに総額10兆ウォン(約9524億円)を投資すると発表していた。
△環境にやさしい素材を中心とした持続可能なビジネス(3兆ウォン、約2857億円)、
△電池素材を中心としたE-モビリティ(6兆ウォン、約5714億円)、
△グローバル新薬(1兆ウォン、約952億円 )
付記
LG Chemはこの発表の直後に、Korea Zinc 社との間で正極剤製造に使われるメタルの共同開発を含めた全面的事業提携(株式交換を含む)を行う覚書を結んだ。
金属回収、高純度金属製造を可能とするKorea Zinc社の精錬技術を使い、バッテリー材料の安定的なサプライチェーンをつくる。
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